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アジアリサイクル最前線

−動き始めた循環資源−

産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会国際資源循環ワーキング・グループ報告書


経済産業省産業技術環境局リサイクル推進課 編

発行 2005年 3月 29日 A5判 300ページ

本体 2,500円(+税)  送料 実費

ISBN4-8065-2723-8

内容見本がご覧になれます(PDF版) (概要) 約35kB   http://www.adebe.co.jp/
内容見本(HTML版) (参考資料) 約86kB
(この内容見本はPDFですが体裁が本紙と若干異なります)

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人類は様々な物質循環を利用することによってはじめて経済活動を行うことができます。しかし、長い期間経済活動を行ってきたことが物質循環の乱れの原因となりました。人類は今後どのような資源循環システムを作るべきかが問われています。

今後ビジネスセクターを中心とした広域の資源循環システムを作り上げる必要があります。特に、東アジア圏域を中心とした効率的な資源循環型社会構築が日本にとって当面の課題になります。その場合に一定のルールあるいは行動の枠組みが必要となります。

本書では、第1章で国際資源循環問題の現状分析を行い、第2章で、国際資源循環問題についての、基本的な方向性や視点について整理を行い、第3章で、持続可能なアジア循環型経済社会権構築のための具体的な考え方や各主体が果たすべき役割を提言しております。第4章では、我が国における今後の総合的な施策展開の方向性を述べています。

また、参考資料集として、図や表を多数取り扱い、複雑な数値等を判りやすく掲載しております。 国際資源循環ワーキング・グループ委員からの報告内容や寄稿文も掲載し、具体的な提言を多数盛り込むとともに、巻末に、中国における循環型経済社会形成に向けた動向を掲載しており、貴重な参考資料となっております。


■刊行にあたって(本書の前書きより)

あらゆる物質は、時間の差こそあれ地球上で循環している。極めて小さな領域で循環するものもあれば、地球規模で循環するものもある。また海洋における水は千年のオーダーで循環すると言われているが、同じ物質でありながら大気中の水は1年間に何回も循環する。物質の循環は実にさまざまである。人間は、こうした自然の多様な物質循環を利用することによってはじめて経済活動を行うことができるのだ。 しかしながら、人間は経済活動を行うことでこうした物質循環に深く介入し、その結果物質循環の乱れの原因となってしまった。数億年という長さで蓄積された化石燃料を数百年で使い尽くし、その結果、炭素の循環を大いに乱しているのは人間の経済活動に他ならない。鳥の糞が堆積してできたグアノという物質も、農業肥料としてあっという間に使い尽くしてしまった。今、我々は多くの資源を一度だけの利用で済まし、後は廃棄物として自然の中へ捨て去っているのである。このままの経済活動を続けてゆくならば、どう考えても持続的に経済を発展させることなど不可能だ。

それではもう悲観的は見方しか残されていないのであろうか。私はそうは思わない。江戸時代、我々の先祖は資源を循環利用することによって持続的な発展を享受してきた。こうして自然の物質循環をあまり乱すことなく自然と共生する道を長く歩んだのである。もちろん、現代に生きる我々が江戸時代の人々と全く同じ方法を採ることは困難だ。しかし、現代の叡智を結集すれば、現代においてさえ自然との共生が可能になると私は信じている。今、その挑戦の時が来たのであり、日本は世界に先駆けて資源循環の試みを率先して行うべきなのである。 それではどのような資源循環システムを作ったら良いのだろうか。この問いに今の段階で確定的な答を出すことはできない。ただ、いくつかのヒントは与えられていると思う。まず自然の物質循環になぞらえてみても明らかなのだが、循環には層構造があるということを理解することが大事だ。自然の物質循環にも局地(小域)的循環、中域的循環、広域的循環、そして地球規模での循環とさまざまな循環があり、それが織り成すようになって全体的な循環が出来上がっている。

だとしたら、経済における資源循環にも同じような層構造があって然るべきだろう。現在地産地消や地域通貨などという取り組みが各地域で試みられているが、これは最も基礎的な小さな循環を大切にする取り組みである。しかし、全てが局所的に閉じた循環で完結するわけがない。ある限られた小さな地域では廃棄物となってしまうような物質でも、他の地域では立派な資源として活用される場合がある。循環の領域を少し拡大しただけで、未利用資源が有効資源となり得ることに注意したい。

当然のことながら、資源循環は国境を越えることもある。動脈経済に国境がないのに静脈経済の活動を一国に閉じる必然性はない。鉄スクラップや古紙は、従来から国際貿易の対象であった。何を隠そう、日本もかつて大量の鉄スクラップや古紙を輸入することによって経済成長を遂げることができたのである。再生資源の循環にも大域的なものがあるのだ。

もう一つのヒントは先に述べた江戸のリサイクル社会にある。江戸時代の人々は、なにも倫理的基準のみによって資源の循環利用を行ったわけではない。もちろん、ものを大切にする気持ちはあったには違いないが、それだけの理由では一国の資源循環は立ち行かない。彼らもビジネスのなかで資源循環を行った、ということに気づくことが大事である。ものを循環利用することによって生業が成り立ったからこそ、資源循環がうまく行ったのである。このことは現代にも十分当てはまる。経済原則を無視した強制的な資源循環は持続可能ではない。市場をうまく活用することによって資源循環を成立させることが、経済と環境の両立的発展の鍵となる。民間主体の活躍こそがスムーズな資源循環の基礎となる。

以上のことからわかるように、今後ビジネスセクターを中心とした広域の資源循環システムを作り上げる必要がある。特に、東アジア圏域を中心とした効率的な資源循環型社会構築が日本にとって当面の課題となる。ただその場合、一定のルールあるいは行動の枠組みが必要である。静脈経済の場合、秩序なき競争は有害物質の歯止めのない移動や拡散をもたらし、汚染や公害を引き起こす恐れが大きいからだ。 ここに動脈経済の取引と静脈経済の取引の大きな差が存在する。静脈経済では、ものの流れを透明にし、それを前提として、ある時は市場の力に逆らってまでもものの流れを制御する必要が生じるのである。透明な流れの確保と制御のルール・枠組みが一旦与えられれば後は民間主体の創意工夫によって再生資源利用が自由になされる、そのような経済を作り上げることは決して夢ではない。

自然は私たち人間に、考えそして新しいことに挑戦するための頭脳を与えてくれた。それを無駄遣いすることは自然の掟に反している。21世紀、動脈経済だけではなく静脈経済においても日本が世界をリードする。この挑戦ほど胸を熱くしてくれる挑戦はない。

平成17年1月

産業構造審議会環境部会
廃棄物・リサイクル小委員会 国際資源循環ワーキング・グループ
座長 細田 衛士(慶応義塾大学経済学部長)


主要目次

1. 国際資源循環問題を巡る現状

1.1 循環資源の越境移動の現状
1.1.1 循環資源輸出入の動向
1.1.2 不適正な廃棄物等の越境移動
1.1.3 産業の国際分業化に伴う課題
1.1.4 実態把握の困難さ
1.1.5 バーゼル条約の運用実態・動向
1.2 アジア各国における循環型経済社会の構築に向けた取組
1.2.1 総論
1.2.2 中国
1.2.3 アセアン各国
1.2.4 その他の国・地域
1.3 我が国における循環型経済社会の構築に向けた取組
1.3.1 我が国国内における循環型経済社会の構築をめぐる近時の動き
1.3.2 我が国企業の新たな動き

2. 対応に向けた基本的な方向性と視点

2.1 国際資源循環問題に係る中心的課題
2.2 基本的な方向性と視点
2.3 持続可能なアジア循環型経済社会圏

3. 持続可能なアジア循環型経済社会圏構築のための課題 
  〜具体的な考え方・各主体が果たすべき役割〜

3.1 各国単位での循環型経済社会構造への転換
3.1.1 アジア各国:循環型経済社会構造に転換するための基盤整備の実施
3.1.2 日本:資源有効利用を極大化したより高度な循環型経済社会の追求とアジア各国への貢献
3.2 適正なアジア域内資源循環システムの構築に向けて  
3.2.1 適正な資源循環システムであるための条件:確実性・信頼性に裏付けされたトレーサビリティの確保
3.2.2 認めていくべき資源循環システムの形態
3.2.3  経済的で適切な静脈物流システムの構築

4. 我が国における今後の総合的な施策展開の方向性 

4.1 政策対話の実施 
4.2 情報の共有化 
4.3 アジア各国における循環型経済社会の構築に向けた支援 
4.4 アジア域内における資源循環ネットワークの構築に向けた施策 

(参考)3Rイニシアチブ 

委員からの報告内容 

 同和鉱業株式会社代表取締役・COO(最高執行責任者)
  兼エコビジネス&リサイクルカンパニープレジデント/渡邉 謙一
 アジア経済研究所新領域研究センター研究員/小島 道一
 国土交通省港湾局環境整備計画室長(オブザーバー)/牛嶋 龍一郎
 株式会社リコー常務取締役/酒井 清
 早稲田大学理工学部教授/大和田 秀二
 松下電器産業株式会社常務取締役/大鶴 英嗣
 株式会社リーテム代表取締役社長/中島 賢一
 株式会社市川環境エンジニアリング代表取締役/石井 邦夫

寄稿文

 日本通運株式会社環境部長/荒木 恒美
 株式会社市川環境エンジニアリング代表取締役/石井 邦夫
 神戸大学大学院経済学研究科教授/石川 雅紀
 松下電器産業株式会社常務取締役/大鶴 英嗣
 早稲田大学理工学部教授/大和田 秀二
 アミタ株式会社代表取締役社長/熊野 英介
 アジア経済研究所新領域研究センター研究員/小島 道一
 株式会社リコー常務取締役/酒井 清
 ジャーナリスト・環境カウンセラー/崎田 裕子
 日本電気株式会社執行役員専務/鈴木 泰次
 株式会社リーテム代表取締役社長/中島 賢
 文教大学国際学部教授/藤井 美文
 同和鉱業株式会社代表取締役・COO(最高執行責任者)
  兼エコビジネス&リサイクルカンパニープレジデント/渡邉 謙一
 国土交通省港湾局環境整備計画室長(オブザーバー)/牛嶋 龍一郎

参考資料集

 <検討の背景>
  1 日系企業による海外への事業展開状況
  2 アジア域内貿易量の増大	
  3 各種法制度における「資源」の定義
  4 産業構造審議会における過去の検討

 <循環資源の輸入に係る現状>
  5 アジアに展開している日系企業にとって現地での処理・リサイクルが困難な循環資源
  6 タイ・マレーシアの廃棄物処理業者の取扱い状況
  7 日本が輸入しているバーゼル条約対象品目
  8 廃棄物等の輸出入手続
  9 バーゼル条約運用を取り巻く実態

 <循環資源の輸出に係る現状>
  10 各国の資源生産・需要の推移
  11 各国の循環資源の輸入状況
  12 循環資源の日本からの輸出量の推移
  13 循環資源の輸出事例	
  14 日本が輸出しているバーゼル条約対象品目
  15 中国における不適正処理に関する報告事例
  16 日本企業による違法な輸出事例	
  17 各国の中古製品・循環資源に係る輸入規制
  18 ブラウン管ガラスの再商品化の現状と課題
  19 循環資源の輸出と国内の循環資源市場の関係

 <アジア展開日系企業支援に係る現状>
  20 アジア各国におけるリサイクルに係る状況
  21 アジアに展開している日系企業が抱える廃棄物処理・リサイクル上の課題
  22 日系企業による国際的な資源循環の例
  23 グリーンエイドプラン(GAP)の状況
  24 国際協力銀行および日本政策投資銀行のアジア諸国環境保全活動支援策
  25 アジアへの事業展開を考えている環境関連事業者が抱える課題
  26 「持続可能な開発のための教育の10年」に関する動き
  27 APECリサイクルプロジェクトの概要

関連資料

 中国における循環型経済社会形成に向けた動向
 −廃電気・電子機器への対応動向を中心に−



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