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あの会社はどうして伸びた
−今から始めるIT経営−

則包直樹・榎本博康 著

発行 2006年 11月 2日 四六判 220ページ

本体 1,900円(+税)  送料 実費

ISBN4-8065-2752-1

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■本書<はじめに>より

 IT経営って何でしょうか? ITとはインフォメーションテクノロジー、つまり情報技術の略です。では会社でパソコンやインターネットを使っていれば、IT経営をしていると言えるでしょうか? 答えはもちろんノーです。 「IT経営」とは、積極的にITを活用した経営、つまり、ITを活かして会社を改革していくことなのです。会社の改革の道具としてITを使って成果を上げることです。

 政府からも、本年(2006年)に新たなIT戦略として「IT新改革戦略」が発表され「いつでも、どこでも、誰でもITの恩恵を実感できる社会の実現」を目標に新たな施策が実行されようとしています。この中の理念の1つである「ITの構造改革力の追及」に向けた施策である「IT経営の確立による企業の競争力強化」で「IT経営」が打ち出されています。日本の企業経営におけるIT活用が遅れていることに対する挽回策に、政府も取り組み始めたわけです。

 この本では、IT経営とはどんなものか、どのように取り組めば良いのかについて、述べてみたいと思います。そこで、IT経営で先行している米国で確立された手法を使うことにしました。

 使う手法は2つです。まず、1つ目はエンタープライズ・アーキテクチャ(略してEA)です。これは米国政府によってIT投資の適正化のために採用された手法であり、日本では「IT新改革戦略」の前のIT戦略であった「e-Japan」戦略で、電子政府構築に向けた取り組みの中で採用されました。行政のITによる業務改革の手法として「業務・システム最適化計画」として業務プロセスを可視化(見える化)することにより、ITを活用した業務の全体最適化を目指すものです。また、先進的な民間企業でも取り入れられ始めています。

 2つ目は、バランス・スコアカードです。これは、ハーバード大学のキャプラン教授が提唱した、経営戦略とその達成度を測る業績評価指標をリンクさせたマネジメントシステムとして活用することができる手法です。これら2つは別々に生まれた手法ですが、実際の運用に当たっては、適宜融合させて利用することができます。

 これらの関係を仕組みと評価の2段階で表わすと、業務プロセスの改善の仕組みとしてエンタープライズ・アーキテクチャがあり、改善の評価のためにバランス・スコアカードがあると考えられます。

 本書の元になった原稿は、月刊ソリューションIT(リックテレコム社発行)の連載記事「1から始めるEA」として2005年1月号から2006年2月号まで12回にわたって掲載されたものを「IT経営」という観点から再構成したものです。したがって、主な流れはエンタープライズ・アーキテクチャ手法の適用によるIT経営の導入になっています。

 本書で想定している読者は、業務改善に取り組むビジネスマン、自社の競争力強化に取り組む経営者、行政改革に取り組む公務員の方々です。

 筆者らが連載を始めた時の問題意識は、EAが日本に導入されようとしているにもかかわらず、EAの説明が難しすぎて一部のIT技術者やコンサルタントにしか理解されないのではないかという危惧でした。したがって、EAを使ってビジネスの可視化に取り組むべき一般のビジネスマンに理解していただけるような、やさしいEAの解説を書くことを目指していました。そして最近「IT経営」という言葉が用いられ始めた時に、IT経営を導入するためにはEAやBSCを使うことをよりやさしく解説して、多くのビジネスマンに簡単に読めるようにすることが必須であると思うようになりました。それが連載を再構成して本書を執筆する原動力となりました。

 最後に、事例を提供していただいた松下電器産業株式会社と宮城県庁のご協力に感謝します。また、ツールの紹介に当たり資料を提供いただいたツールベンダー各社に感謝します。そして本書の元になった連載の機会をいただいた月刊ソリューションIT編集部に、この場を借りてお礼を申し上げるとともに、ご意見をいただいた多くの方々に感謝いたします。

2006年5月
筆者代表 則包直樹

<著者Webサイトのお知らせ>
本書についての質問や意見交換のために、Webサイトを設置しました。ぜひアクセスして御感想を教えてください。 ゲストが書きこめるフォーラムを開設しています。
http://www.it-keiei.jp

    主な内容

はじめに

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第1章 総論 IT経営とは
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 第1節 現場から考えるIT経営
 (1)EAを使ったIT経営の効果
 (2)コクピット経営
 (3)EAを使ったIT経営導入手順
 (4)タイプ別EA実施の3つのシナリオ

 第2節 IT経営のための各方法論の概要
 (1)ビジネスプロセス・エクセレンス
 (2)EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)
 (3)BSC(バランス・スコアカード)
 (4)EPM(エンタープライズ・パフォーマンスマネジメント)
 (5)ARISハウス

 <コラム1-1> 日本政府のIT戦略とIT経営の関係
 (1)日本政府のIT戦略の推移
 (2)IT戦略におけるIT経営(内閣府)
 (3)経済産業省の「新経済成長戦略」
 (4)経済産業省のIT経営応援隊施策


 <コラム1-2> EAのフレームワーク(米国での取り組み)
 (1)ザックマン・フレームワーク −Zachman Framework
 (2)FEAF−The Federal Enterprise Architecture Framework
 (3)DoDAF−Department of Defence Architecture Framework
 (4)TOGAF−The Open Group Architecture Framework

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第2章 松下のV字改革の本質に迫る
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 第1節 V字回復を支えるITを使った経営改革
 (1)民間企業におけるITマネジメント
 (2)社長のトップダウン「創生21計画」
 (3)躍進21計画へ

 第2節 予算・体制の確保と効果測定が成功要因
 (1)松下電器の経営ITアーキテクチャ:CITA
 (2)全社統制モデル
 (3)IT革新の投資と成果
 (4)3つの観点でIT革新を評価
 (5)現場での2つの課題
 (6)継続的実践と効果測定

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第3章 宮城県に見る自治体のIT経営
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 はじめに

 第1節 地方自治体のIT経営推進状況
 (1)電子自治体関連事業の推進方針
 (2)地方自治体の取り組み状況

 第2節 宮城県の電子県庁推進状況
 (1)宮城県のIT化戦略の概要
 (2)IT経営へのアプローチ
 (3)推進体制

 第3節 共通基盤システムと開発推進状況
 (1)共通基盤システム
 (2)開発状況

 第4節 東北テクノロジーセンターについて

 第5節 調達改革などの効果

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第4章 仮想カンパニーでシミュレートするIT経営の実践
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 第1節 現状のモニタリングと経営戦略の策定
 (1)仮想カンパニーEAG社
 (2)ミッションとビジョンの明確化
 (3)バランス・スコアカードの作成
 (4)ビジョンからアクションへの落とし込み
 (5)IT経営導入の宣言
 <コラム4-1> EAG社長がIT経営導入の背景と将来像を語る
 (1)EAG社の置かれた状況
 (2)特注品の積極受注と標準品のアウトソーシング化
 (3)ネット活用による営業プロセスの簡素化
 (4)IT経営実践の視点

 第2節 IT戦略の策定I As-Isモデル分析
 (1)IT成熟度診断による重要経営課題の洗い出し
 (2)現状の業務モデルの可視化
 (3)DFDとWFAによる業務分析
 (4)職場討論による課題の抽出
 (5)アクションプランと現状分析の整合

 第3節 IT戦略の策定II To-Beモデル設計
 (1)ビジネスモデルの策定
 (2)全社ビジネスモデルの各部門への落とし込み
 (3)他社の成功事例に学び自社モデルを作成
 (4)To-Beモデル検討のための可視化作業
 (5)キックオフ会による全社プロジェクト宣言

 第4節 IT戦略の策定III 次期システムモデル策定
 (1)EA構築のためのドキュメントの体系
 (2)データ・アーキテクチャの検討
 (3)社外向けポータルサイトによる生産情報公開
 (4)社内ポータルサイトによる代理店・外注業者との情報共有
 (5)全工程の可視化と顧客・代理店への公開
 (6)アクションプランに基づく組織の再編
 (7)予算の検討
 <コラム4-2> 社長のひとりごと〜コア・コンピタンスの発見

 第5節 IT戦略の策定IV 移行計画
 (1)課題の確認
 (2)IT経営導入による期待効果の明確化
 (3)IT経営導入の4つの課題
 (4)課題対応策の検討
 (5)KPIの測定による目標と現状の可視化
 (6)ツール開拓と予算の厳守
 (7)EAの3段階構築
 (8)各部長による推進方針の説明

 第6節 実施と評価による継続的業務改革
 (1)1年後のEAG社
 (2)2年後のEAG社
 (3)3年後のEAG社
 (4)初年度から手作業も併用したKPIの経年調査を実施
 (5)ビジネス環境の変化に応じた柔軟な改革の継続
 <コラム4-3> 仮想カンパニーEAG社を採用した理由
 <コラム4-4> IT経営導入4年目を迎えたEAG社社長のコメント

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第5章 IT経営のためのツール活用
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 第1節 業務プロセス可視化を効率化するEAツール
 (1)取り組みフェーズごとに異なるITツール
 (2)日本語化されたものは少ないEAツール
 (3)System Architect Family v10(Telelogic社製)
 (4)ARIS Collaborative Suite(IDS Scheer社製)
 (5)経済産業省版EAツール

 第2節 UML・PM・BSCツールの導入
 (1)UMLツールには2種類の利用方法
 (2)IT経営導入プロジェクトの管理で使うPMツール
 (3)経営コクピットを実現するBSCツール

おわりに

執筆者プロフィール

用語集



 bookinfo@chosakai.or.jp

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