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著作権法(事例・判例)
青山  紘一  著

発行 2010年 2月 5日  A5判 658ページ

本体 6,400円(+税)  送料 実費

ISBN978-4-8065-2842-5

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   内容紹介  イメージ
平成22年1月1日施行の改正著作権法・政省令に準拠して、インターネット時代における最新著作権法を簡潔・平易に解説

  • 注目133判例の概要と判決要旨を収録・解説
  • ビジネス著作権検定・知財検定・弁理士試験・司法試験の範囲を網羅
  • 知的財産法・情報法・ビジネス法分野に関心のある企業人・学生・一般社会人にも必携の書
  • 大学・法科大学院等の著作権法教科書・参考書として最適
   「はしがき」 より イメージ
平成21年著作権法改正が、平成22年(2010年)1月1日施行となりました。

今回の改正は、デジタルコンテンツの流通促進を図る法制度の整備という目的の下に、全体で38条文にわたるものであり、内容的にも重要な改正を含んでいます。具体的には、違法な著作物の流通抑止策として、違法配信されている音楽・映像を違法と知りつつダウンロードする行為が権利侵害と明示され(ただし罰則はなし)、海賊版DVDなどを違法複製物であると知りつつネットオークションに出品する行為については権利侵害とみなすとともに罰則(5年以下の懲役もくしは5百万円以下の罰金・併科)が科せられることとされました。また、インターネットなどでの著作物利用の円滑化に向けた措置として、ストリーミング配信におけるキャッシュや検索エンジンが行うコンテンツの複製などについて、必要と認められる限度においては権利者の許諾を必要としないことが明文化され、過去のテレビ番組などを二次利用する際に一部の権利者が不明で許諾が得られないといった問題に対処するため、一部の権利者が不明の場合にも「裁定制度」を利用可能とし補償金を供託することで著作物の利用を可能とする措置が設けられました。さらに、国会図書館における所蔵資料の電子化や、ネット販売に伴う美術品などの画像掲載、情報解析研究のための複製、障害者向けの録音図書や映像に対する字幕・手話の付加などについても、権利者の許諾なしに行える規定が設けられました。

引続き現在、文化審議会著作権分科会において、権利制限規定の見直し(フェア・ユース規定の導入)、通信・放送の在り方の変化への対応、ネット上の複数者による創作に係る課題、間接侵害規定の導入などの懸案が検討されています。

著作権は、著作物を利用しようとする者に著作権者が利用を認めたり、禁止したりできる権利であり、財産権であるとともに人格的な権利(著作者人格権)も含んでいます。さらに、実演家、レコード製作者および放送事業者が著作物を利用する際に認められている「著作隣接権」および実演家の人格権も含まれています。

著作権は社会生活の中での身近な権利ですが、一方で、情報の氾濫やインターネットに依存することが日常的になってきている昨今、知らず知らずのうちに自らが権利侵害の加害者になることも少なくありません。そのうえ、著作権侵害に対しては刑罰も一段と厳罰化されてきており、そのため、著作権法に関する知識は、社会人や学生など全ての人に必要不可欠になってきています。

本書は、「第I部:著作権法解説」「第II部:著作権訴訟注目事例・判例」の2部構成とし、第I部では最新の著作権法の全体像を平易に解説しております。第II部では、これまでの基本判例および最新の注目判決(地裁判決・高裁判決・最高裁判決)130件余について、それらの事件の概要、判決要旨等をとりまとめております。著作権法が実学として学べるように、実務に参考となると思われる事例・判例を最大限収録するように努めました。

本書は、著者が、これまで大学学部・大学院・ロースクールでの授業や、社会人対象の知財通信教育などを通じて培った知識・経験に基づいて、これまでにない極力分かりやすい著作権法の体系書であるとともに生きた実務書となるように最大限努めました。

ビジネス著作権検定(初級・上級)、知的財産管理技能検定(2級・3級)、法学検定、弁理士試験などの受験(検)にも十分役立つように配慮しています。さらに、新司法試験の選択科目である「知的財産法(著作権法)」にも完璧に対応するように努めたつもりです。

本書が、初学者から、知財分野の実務者、弁理士試験や司法試験の受験者、大学生・法科大学院生など多くの皆様に著作権および著作権法を学習するためにお役立ていただければ幸いです。

平成22年 1月
青山 紘一


主要目次
はしがき
凡 例
引 用・参考文献

*******************
第I部  著作権法解説
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━━━━━━
第1章 序論
━━━━━━
 1.はじめに
 2.著作権と所有権の関係
 3.著作権の内容
 4.著作権法
 5.著作権法の目的

━━━━━━━
第2章 著作物
━━━━━━━
 1.著作物の定義
 (1)「思想又は感情」を表現したもの
 (2)思想又は感情を「表現」したもの
 (3)思想又は感情を「創作的」に表現したもの
 (4)「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するもの
 2.著作物の例示
 (1)小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
 (2)音楽の著作物
 (3)舞踊・無言劇の著作物
 (4)絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
 (5)建築の著作物
  (6)地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
  (7)映画の著作物
  (8)写真の著作物
  (9)プログラムの著作物
 3.編集著作物
 4.データベースの著作物
 5.二次的著作物
 6.共同著作物
 7.保護を受ける著作物
 (1)日本国民の著作物
 (2)最初に日本国内において発行された著作物
 (3)条約によりわが国が保護義務を負う著作物
 8.権利の目的とならない著作物

━━━━━━━━━━━━
第3章 著作者・著作権者
━━━━━━━━━━━━
 1.著作者の定義
 2.共同著作者
 3.著作者の推定
 4.職務著作・法人著作の著作者
  (1)職務著作制度の意義
 (2)プログラムの著作物以外の著作物の場合
 (3)プログラムの著作物の場合
 5.映画の著作物の著作者
 6.著作権者
 7.映画の著作物の著作権者
 8.二次的著作物の著作権者
 9.著作者の権利
 10.著作権の保護期間
 (1)保護期間の原則
 (2)保護期間の例外
 (3)保護期間の計算方法
 (4)保護期間の変遷
 (5)保護期間の延長問題

━━━━━━━━━━
第4章 著作者人格権
━━━━━━━━━━
 1.公表権
 2.氏名表示権
 3.同一性保持権
 4.一身専属権
 5.著作者が存しなくなった後における人格的利益
 6.その他の人格的利益

━━━━━━━━━━━━
第5章  著作権(財産権)
━━━━━━━━━━━━
 1.複製権
 2.公衆に伝達する権利
 (1)上演権・演奏権
 (2)上映権
 (3)公衆送信権
 (4)公の伝達権
 (5)口述権
 (6)展示権 
 3.頒布・譲渡・貸与する権利
 (1)頒布権
 (2)譲渡権
 (3)貸与権
 4.二次的著作物の創作・利用に関する権利
 (1)翻訳権・翻案権等
 (2)二次的著作物の利用権

━━━━━━━━━━
第6章  著作権の制限
━━━━━━━━━━
 1.フェア・ユース
 (1)フェア・ユースを認めた裁判例
 (2)フェア・ユースを認めなかった裁判例
 (3)日本版フェア・ユース規定の導入の動き
 2.権利制限の本質
 3.著作権の制限規定
 (1)私的使用のための複製
 (2)図書館等における複製
 (3)引用
 (4)教科用図書等への掲載
 (5)教科用拡大図書等の作成のための複製
 (6)学校教育番組の放送等
 (7)教育機関における複製
 (8)試験問題としての複製
 (9)視覚障害者等のための複製等
 (10)聴覚障害者等のための複製等
 (11)営利を目的としない上演等
 (12)時事問題に関する論説の転載等
 (13)政治上の演説等の利用
 (14)時事の事件の報道のための利用
 (15)裁判手続等における複製
 (16)情報公開法等における開示のための利用
 (17)国立国会図書館法によるインターネット資料の収集の為の複製
 (18)翻訳・翻案等による利用
 (19)放送事業者等による一時的固定
 (20)美術の著作物等の原作品の所有者による展示
 (21)公開の美術の著作物等の利用
 (22)美術の著作物等の展示に伴う複製
 (23)美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等
 (24)プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等 
 (25)保守・修理等のための一時的複製
 (26)送信の障害の防止等のための複製
 (27)送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等
 (28)情報解析のための複製等
 (29)電子計算機における著作物の利用に伴う複製
 4.複製権の制限により作成された複製物の譲渡
 5.出所の明示
 (1)必ず出所の明示を行わなければならない場合
 (2)出所明示の慣行が存在する場合に限り出所の明示を行わなければならない場合
 (3)著作物を翻訳・翻案して利用する場合
 6.複製物の目的外使用等
 (1)複製物の目的外使用
 (2)二次的著作物の目的外使用
 7.著作権の制限規定と著作者人格権との関係

━━━━━━━━━
第7章  著作隣接権
━━━━━━━━━
 1.総論
 (1)著作隣接権の意義
 (2)著作隣接権の発生
 (3)著作隣接権の保護期間
 2.実演家の権利
 (1)実演
 (2)実演家
 (3)保護を受ける実演
  (4)実演家人格権
 (5)許諾権の内容
 (6)報酬請求権の内容
 3.レコード製作者の権利
 (1)レコード
 (2)レコード製作者
 (3)保護を受けるレコード
 (4)貸与権
 (5)報酬請求権
 4.放送事業者の権利
 (1)放送
 (2)放送事業者
 (3)保護を受ける放送 
 5.有線放送事業者の権利
 (1)有線放送
 (2)有線放送事業者
 (3)保護を受ける有線放送
 6.ワンチャンス主義
 7.著作隣接権の制限
 8.著作隣接権の譲渡・行使等

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第8章  著作権・著作隣接権の侵害
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 1.侵害行為
 2.侵害とみなす行為
 (1)侵害物品の輸入
 (2)侵害物品の頒布等
 (3)悪意で取得したプログラムの業務での使用
 (4)権利管理情報に対する不正行為
 (5)音楽レコードの還流行為
 (6)名誉・声望を害する行為
 3.刑事罰
 (1)罪となる行為と罰則
 (2)親告罪
 (3)著作権侵害刑事事件の事例
 (4)重罰化と問題点
 4.「民事」の対抗措置 
 (1)差止請求等
 (2)損害賠償請求
 (3)不当利得返還請求
 (4)名誉回復等の措置の請求
 (5)立証困難に対する救済措置
 (6)一般不法行為に基づく損害賠償請求
 (7)慰謝料の請求
 5.侵害主体性
 (1)カラオケ法理
 (2)カラオケ法理の拡大解釈
 (3)主体性判断の動向
 6.紛争解決あっせん制度
 7.裁判管轄
 (1)著作権訴訟の管轄
 (2)国際裁判管轄

━━━━━━━━━━━
第9章 その他の諸問題
━━━━━━━━━━━
 1.出版権
 2.私的録音録画補償金制度
 (1)制度の概要
 (2)補償金の支払いの対象となる機器・記録媒体
 (3)問題点
 3.著作権の登録制度
 (1)登録制度の種類
 (2)登録の対象となるもの
 (3)登録機関
 4.著作権の変動
 (1)著作権の譲渡
 (2)相続
 5.著作権のライセンス
 (1)契約成立の原則
 (2)ソフトウェアの利用許諾
 6.裁定による著作物の利用
 (1)著作権者等が不明の場合の著作物の利用
 (2)裁定申請中の著作物の利用
  (3)放送のための利用
 (4)レコードの製作・販売のための利用
 7.著作権の周辺
 (1)肖像権
 (2)パブリシティ権
 (3)キャラクターの商品化権
 8.著作権関連条約
 (1)ベルヌ条約
 (2)万国著作権条約
 (3)実演家等保護条約
 (4)レコード保護条約
 (5)TRIPs協定


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第II部 著作権訴訟注目事例・判例
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〔1〕著作権の客体
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事例1 顔真卿自書建中告身帖事件(最高裁昭和59年1月20日判決)
〜美術の著作物の原作品の所有者でない者が、有体物としての原作品に対する所有者の
排他的支配権能をおかすことなく原作品の無体物としての著作物の面を利用しても、原
作品の所有権を侵害するものとはいえないとされた事例〜

━━━━━━━
〔2〕著作物性
━━━━━━━
事例2 博多人形事件(長崎地裁佐世保支部昭和48年2月7日決定)
〜量産されて産業上利用されることを目的として製作された博多人形が美術工芸的価値
としての美術性も備わっているとして著作物性が認められた事例〜

事例3 スペース・インベーダー・パートII事件(東京地裁昭和57年12月6日判決)
〜テレビ型ゲームマシンのゲーム内容を記号語(アッセンブリ言語)によって表現する
ソフトウェア・プログラムが、その作成者の独自の学術的思想の創作的表現であり、著
作権法上保護される著作物に当たるとされた事例〜

事例4 日刊情報事件(福岡地裁大牟田支部昭和59年9月28日判決)
〜「日刊情報」と題する労働組合機関紙の記事が、著作権法10条2項にいう「事実の伝
達にすぎない雑報及び時事の報道」に当たらないとされた事例〜

事例5 動書事件(東京地裁昭和60年10月30日判決)
〜書家が書いた書が「思想又は感情を創作的に表現したものであって、知的、文化的精
神活動の所産ということができる」として著作物性が認められた事例〜

事例6 当落予想表事件(東京高裁昭和62年2月29日判決)
〜○、△、▲の符号を付して表現した衆議院議員総選挙立候補予定者の当選予想表が、
その表現形式において作成者の個性があらわれており著作物であるとされた事例〜

事例7 木目化粧紙事件(東京高裁平成3年12月17日判決)
〜木目化粧紙の原画について、社会通念上純粋美術と同視し得るものと認めることはで
きず著作物性が認められないとされた事例〜

事例8 脳波数理解析論文事件(大阪高裁平成6年2月25日判決)
〜数学の解明過程は、著作物の思想(アイデア)そのもので、著作物には該当しないと
された事例〜

事例9 日本の城の基礎知識事件(東京地裁平成6年4月25日判決)
〜学問的思想であって著作物とは認められないとされた事例〜

事例10 「出る順宅建」事件(東京高裁平成7年5月16日判決)
〜国家試験受験者用参考書に掲載された法令の規定事項をまとめて図表としたもののう
ち、そのまとめ方等に創作性が認められるものには著作物性を肯定し得るとされた事例〜

事例11 ラストメッセージ in 最終号事件(東京地裁平成7年12月18日判決)
〜ありふれた表現は創作性を欠き著作物とは認められず、「フェア・ユース」も適用で
きないとされた事例〜

事例12 スモーキングスタンド事件(東京地裁平成9年4月25日判決)
〜工業的に量産されるスモーキングスタンド、ダストボックス等の商品の設計図の表現
方法に独創性、創作性が認められないとして、著作物性が否定された事例〜

事例13 版画の写真事件(東京地裁平成10年11月30日判決)
〜平面的な版画および僅かな凹凸のある版画を撮影した写真の著作物性が否定されると
ともに、雑誌出版社において写真の撮影を担当していた従業員が出版社の出版する雑誌
に掲載するために撮影した写真の著作権が出版社に帰属しないとされた事例〜

事例14 イルカ写真事件(東京地裁平成11年3月26日判決)
〜野生のイルカを写真撮影するに当たり、自らの撮影意図に応じて構図を決めシャッタ
ーチャンスを捉えて撮影を行ったものであるから著作物性を有するとされた事例〜

事例15 知恵蔵事件(東京高裁平成11年10月28日判決)
〜ブック・デザイナーの行った用語辞典「知恵蔵」のレイアウト・フォーマットが編集
著作権の対象となる「素材の選択又は配列」に該当しないとされた事例〜

事例16 タウンページデータベース事件(東京地裁平成12年3月17日判決)
〜職業別電話帳の「タウンページデータベース」は素材の配列によって創作性を有する
編集著作物であるとされた事例〜

事例17 色画用紙見本帳事件(東京地裁平成12年3月23日判決)
〜色画用紙販売用見本帳は、その素材が商品情報であり、色彩および色名を素材とする
編集著作物ではないとされた事例〜

事例18 ゴナU事件(最高裁平成12年9月7日判決)
〜印刷用書体は文字の有する情報伝達機能を発揮する必要があるために必然的にその形
態には一定の制約を受けるとし、本件書体は独創性および美的特性を備えておらず著作
物に当たらないとされた事例〜

事例19 自動車部品生産流通調達事件(名古屋地裁平成12年10月18日判決)
〜自動車部品に関するマーケットリサーチによって得られたデータは著作権法上の著作
物には当たらないとされた事例〜

事例20 アサバン電話帳事件(東京高裁平成12年11月30日判決)
〜東京23区の職業別電話帳を近隣地域ごとに分冊にした電話帳には編集著作権が認めら
れないとされた事例〜

事例21 ふぃーるどわーく多摩事件(東京地裁平成13年1月23日判決)
〜既存の地図に、さしたる変容を加えていない地図は創作性が認められないが、既存の
地図をデフォルメして創作性を有する地図は著作物性を有するとした事例〜

事例22 自動車データベース事件(東京地裁平成13年5月25日中間判決)
〜本件データベースが対象とした自動車の選択に創作性があるとは認められないとして
自動車データベースについて著作物性が否定された事例〜

事例23 交通標語事件(東京高裁平成13年10月30日判決)
〜交通標語は著作物性が認められる場合でも著作権法による保護の及ぶ範囲は一般に狭
いものになるとされた事例〜

事例24 ファービー人形事件(仙台高裁平成14年7月9日判決)
〜ファービー人形の複製権を侵害したとして起訴された者が、ファービー人形の著作物
性が否定されて無罪とされた事例〜

事例25 日本舞踏振付事件(福岡高裁平成14年12月26日判決)
〜本件各舞踏は、いずれも、振付者の思想、感情を創作的に表現したものであるという
ことができ、十分に著作物たりうる創作性を認めることができるとされた事例〜

事例26 製図プログラム事件(東京地裁平成15年1月31日判決)
〜プログラムの具体的記述が誰が作成してもほぼ同一になるもの、簡単な内容をごく短
い表記法によって記述したもの、または極くありふれたものである場合は著作権法上の
保護を受けることができないとされた事例〜

事例27 スカイダイビング撮影写真事件(東京高裁平成15年2月26日判決)
〜スカイダイビングの写真が、自ら構図を決定してシャッターチャンスをとらえて撮影
した写真であり、著作物性を有するとされた事例〜

事例28 モデルハウス事件(大阪高裁平成16年9月29日判決)
〜グッドデザイン賞を受賞した一般住宅の建築物が著作権法上の建築の著作物に該当し
ないとされた事例〜

事例29 ヨミウリオンライン事件(知財高裁平成17年10月6日判決)
〜ホームページにおけるニュース記事本文および記事の見出しが著作権による保護の下
にあるとまでは認められないが、法的保護に値する利益を違法に侵害し不法行為を構成
するとして、損害賠償の支払いが命じられた事例〜

事例30 豆腐屋事件(知財高裁平成18年11月29日判決)
〜江戸時代の浮世絵の模写作品について著作物性が否定された事例〜

事例31 「時効の管理」事件(大阪高裁平成20年10月8日判決)
〜書名の題号の「時効の管理」という表現はありふれた表現であり「著作物」であると
はいえないとされた事例〜

━━━━━━━━━━━━━
〔3〕著作者・著作権の帰属
━━━━━━━━━━━━━
事例32 昆虫さし絵事件(東京地裁昭和36年10月25日判決)
〜科学雑誌に登載する目的で動物の生態を写実的に描いた原画が出版社の編集方針によ
る細かな指示によるとしても美術画家としての感覚と技術によるものであれば画家に著
作権があるとされた事例〜

事例33 高速道路パノラマ地図事件(東京地裁昭和39年12月26日判決)
〜Xが高速道路パノラマ地図作製を企画し、資料を蒐集し、地図に入れるべき主要道路
の指定等もしたうえで画家に地図の製作を依頼したとしても、Xがその地図の著作者で
あるとはいえないとされた事例〜

事例34 「現代世界総図」事件(東京地裁昭和54年3月30日判決)
〜Y会社が企画し、ことこまかく具体的に指示して作製した地図の著作者はY会社であ
り、Y会社の指示に基づき単に製図家として製図作業に従事したにすぎないXは著作者
ではないとされた事例〜

事例35 新潟鉄工事件(東京高裁昭和60年12月4日判決)
〜法人著作には、仮に公表されるとすれば法人等の名義で公表されるものも含まれると
された事例〜

事例36 智恵子抄事件(最高裁平成5年3月30日判決)
〜詩人高村光太郎の詩や短歌、散文を収録した「智惠子抄」の編集著作権が高村光太郎
に帰属するとされた事例〜

事例37 三沢市市勢映画製作事件(東京高裁平成5年9月9日判決)
〜映画製作過程を経ないままの未編集の本件フィルムに撮影収録された映像著作物の著
作権は、その撮影に関わった監督にいぜん帰属するとされた事例〜

事例38 四谷大塚問題解説書事件(東京地裁平成8年9月27日判決)
〜著作権法15条にいう「法人等の業務に従事する者」とは、法人と雇用関係にあるもの
ばかりでなく、法人と被用者の間に著作物の作成に関する指揮命令関係があり、法人に
当該著作物全体を原始的に帰属させることを当然の前提にしているような関係にあると
認められる場合をも含むとされた事例〜

事例39 SMAP事件(東京地裁平成10年10月29日判決)
〜雑誌のインタビュー記事の著作者はインタビューに回答した者ではなく、雑誌出版社
の著作物であるとされた事例〜

事例40 経済学書籍事件(東京地裁平成12年9月28日判決)
〜本件書籍を共同著作物と認定したうえで、共有者の一人が本件書籍の増刷や韓国語へ
の翻訳出版に同意しないことに「正当な理由」があるとした事例〜

事例41 宇宙戦艦ヤマト事件(東京地裁平成14年3月25日判決)
〜形式的な監督であるXは、設定デザイン、美術、キャラクターデザインの一部の作成
には関与したが、本件アニメ作品の全体的形成に創作的に関与したとはいえないとされ
た事例〜

事例42 RGBアドベンチャー事件(最高裁平成15年4月11日判決)
〜観光ビザで入国していた従業者について、法人の指揮監督下で労務を提供し、その対
価として金銭の支払を受けていたとして、著作権法15条1項にいう「法人等の業務に従
事する者」に当たるとされた事例〜

事例43 超時空要塞マクロス事件(東京高裁平成15年9月25日判決)
〜本件テレビアニメの全体的形成に創作的に寄与したのは総監督EであるところEは映
画製作者であるXに対し本件テレビアニメの製作に参加することを約束していたものと
認定できるので映画製作者Xが著作権法29条1項の規定により本件著作権を取得したと
された事例〜

事例44 「男たちよ妻を殴って幸せですか?」事件(東京地裁平成16年2月18日判決)
〜書籍の執筆に当たり、その企画、構想をし、資料の提供、取材旅行の設定を行ったほ
か執筆された文章に関し加除修正等を行った者について、著作者・共同著作者に該当し
ないとされた事例〜

事例45 ミュージカル脚本事件(東京地裁平成16年3月19日判決)
〜ポスター、パンフレット、脚本に、著作者として氏名が通常の方法により記載されて
いるから著作権法14条により著作者と推定されるとされた事例〜

事例46 東京アウトサイダーズ事件(知財高裁平成19年5月31日判決)
〜日常生活で撮影されたスナップ肖像写真の利用行為が著作権侵害とされた事例〜

━━━━━━━━━
〔4〕著作者人格権
━━━━━━━━━
事例47 別冊FMfan事件(東京地裁平成元年6月30日判決)
〜商品広告用写真の撮影を請負ったXから引渡された写真をYが代金未払いのまま雑誌
に広告写真として掲載したことはXの公表権を侵害しないとされた事例〜

事例48 法政大学懸賞論文事件(東京高裁平成3年12月19日判決)
〜論文の掲載に際して送り仮名の変更等の改変が著作権法20条2項3号の「やむを得な
いと認められる改変」に当たらないとされた事例〜

事例49 「目覚め」事件(東京高裁平成8年4月16日判決)
〜ルポルタージュ風の読み物をテレビドラマ化するに当たってされた基本的ストーリー
の変更等が著作者の同一性保持権を侵害するものであり、また、著作者の創作意図に反
しその名誉又は声望を害する方法による利用に当たるから著作者人格権を侵害するとさ
れた事例〜

事例50 三島由紀夫手紙事件(東京高裁平成12年5月23日判決)
〜著作者死後の公表権侵害(著60条)に対し、名誉回復措置として新聞への謝罪広告の
掲載が命じられた事例〜

事例51 ときめきメモリアル事件(最高裁平成13年2月13日判決)
〜専らゲームソフトの改変のみを目的とするメモリーカードはゲームソフトの同一性保
持権を侵害するとされた事例〜

事例52 みずみずしいスイカ事件(東京高裁平成13年6月21日判決)
〜スイカの写真が他人の写真に依拠しかつ他人の写真に表現されたものの範囲にあるの
で撮影行為およびカタログに掲載した行為が著作者人格権(同一性保持権)を侵害する
とされた事例〜

事例53 船橋市西図書館事件(最高裁平成17年7月14日判決)
〜図書館職員である公務員が図書の廃棄について基本的な職務上の義務に反し著作者ま
たは著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをしたときは
当該図書の著作者の人格的利益を侵害し国賠法上違法となるとされた事例〜

事例54 ジョン万次郎塑像事件(知財高裁平成18年2月27日判決)
〜Yは塑像の製作過程においてXの助手として準備をしたり粘土付け等に関与しただけ
であるとして、Xが著作者人格権(氏名表示権)を有することが確認された事例〜

事例55 創価学会写真事件(東京地裁平成19年4月12日判決)
〜人物写真のホームページへの転載が複製権侵害、同一性保持権侵害とされた事例〜

事例56 観音菩薩像頭部すげ替え事件(東京地裁平成21年5月28日判決)
〜観音菩薩立像の頭部をすげ替えて公衆の観覧に供したことが同一性保持権侵害となる
として原状回復が命じられた事例〜

━━━━━━━━━━━━
〔5〕著作権の制限・消尽
━━━━━━━━━━━━
事例57 舞台装置設計図事件(東京地裁昭和52年7月22日判決)
〜業務上利用するために著作物を複製する行為は私的使用にあたらないとされた事例〜

事例58 パロディ事件(最高裁昭和55年3月28日判決)
〜他人の写真の一部を利用したモンタージュ写真の発行が著作者人格権を侵害するもの
であり、引用して利用する側の著作物と引用されて利用される側の著作物の間に前者が
主、後者が従の関係を具備するものでもないので「引用」にも当たらないとされた事例〜

事例59 官公文書事件(東京高裁昭和57年4月22日判決)
〜大蔵省の附属機関が作成した調査報告書が学術に関する著作物であって著作権の目的
とならない著作物である旧著作権法の「官公文書」には当たらないとされた事例〜

事例60 レオナール・フジタ展事件(東京地裁平成元年10月6日判決)
〜本件展覧会カタログは著作権法47条の「観覧者のために著作物の解説又は紹介をする
ことを目的とする小冊子」に該当しないとされた事例〜

事例61 TBS事件(大阪地裁平成5年3月23日判決)
〜ビデオ映画の一部をニュース番組で放送したことが時事の報道のための利用(著41条)
に当たるとされた事例〜

事例62 「やっぱりブスが好き」漫画改変事件(東京地裁平成8年2月23日判決)
〜出版社の編集長が漫画家の原画の絵柄、セリフ等を改変したのはやむを得ず行った改
変であり、その行為について著作権・著作者人格権の侵害として損害賠償等の訴訟を提
起することは権利濫用にあたるとされた事例〜

事例63 血液型と性格の社会史事件(東京地裁平成10年10月30日判決)
〜Y書籍該当部分は、X書籍の要約として翻案ではあるが著作権法32条1項により許容
される引用による利用に当たり、翻案権の侵害にはならないとされた事例〜

事例64 バーンズ・コレクション展事件(東京地裁平成10年2月20日判決)
〜ピカソの展覧会の主催者が展覧会開催に伴って販売する目的で製作した展示絵画を複
製掲載した書籍は著作権法47条の「小冊子」に該当しないとされた事例〜

事例65 脱ゴーマニズム宣言事件(東京高裁平成12年4月25日判決)
〜書籍中の漫画を引用するに際し配置を変更することは「改変」に当たるとされた事例〜

事例66 スターデジオ事件(東京地裁平成12年5月16日判決)
〜ラジオ音楽番組を放送するにあたって音楽データを保有サーバに蓄積する行為が著作
権法44条1項の一時的録音に当たるとされ、個々の受信者が録音する行為は「私的使用
のための複製」に当たるとされた事例〜

事例67 横浜市営バス車体絵画事件(東京地裁平成13年7月25日判決)
〜公道を運行する市営バスの車体に描かれた絵は著作権法46条所定の美術の著作物でそ
の原作品が「屋外の場所に恒常的に設置されているもの」に該当するとされた事例〜

事例68 中古ゲームソフト(大阪)事件(最高裁平成14年4月25日判決)
〜ゲームソフトが「映画の著作物」に当たるとしたうえで、中古ゲームソフトは第一譲
渡によって譲渡権は消尽したとされた事例〜

事例69 小学校国語教科書準拠テスト集事件(東京地裁平成15年3月28日判決)
〜小学校国語教科書に準拠したテスト問題は著作権法32条1項の「引用」および36条1
項の「試験又は検定の問題」としての複製にも当たらないとされた事例〜

事例70 社交ダンス教室事件(名古屋高裁平成16年3月4日判決)
〜社交ダンス教室におけるCD等の再生演奏は営利を目的とした演奏に当たるとして不
法行為および不当利得(消滅時効分)に基づく請求が認容された事例〜

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〔6〕著作権・著作隣接権の侵害
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事例71 ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件(最高裁昭和53年9月7日判決)
〜既存の著作物に接する機会がなかったためその存在、内容を知らないでこれと同一性
のある作品を作成した者は、知らなかったことについて過失があると否とにかかわらず
著作権侵害の責任を負わないとされた事例〜

事例72 パソコン用ソフトレンタル事件(東京地裁昭和62年4月6日決定)
〜プログラムを無断で顧客に貸与していたレンタル業者に対する差止め仮処分が認容さ
れた事例〜

事例73 館林市役所壁画事件(東京地裁八王子支部昭和62年9月18日判決)
〜群馬県館林市庁舎の陶壁画は、東京都日野市庁舎の陶壁画の変形権・同一性保持権侵
害に当たるとして、同壁画中の大型タイルの撤去と損害賠償が命じられた事例〜

事例74 ウォール・ストリートジャーナル事件(東京高裁平成6年10月27日判決)
〜米国新聞社の発行する英字日刊新聞の記事の抄訳を分類して配列した文書を作成・頒
布する行為が新聞社が有する編集著作権(翻案権)の侵害に当たるとされた事例〜

事例75 すずや違法複製ビデオ事件(最高裁平成7年4月4判決)
〜独占的ビデオ化権者であっても、当該映画著作物がビデオ化されて著作権が侵害され
た場合には「犯罪により害を被った者」に当たり告訴権を有するとされた事例〜

事例76 システムサイエンス事件(東京地裁平成7年10月30日判決)
〜著作権法113条1項2号所定の「情を知ったもの」に当たるとされた事例〜

事例77 バレエ作品振付け事件(東京地裁平成10年11月20日判決)
〜バレエ公演における振付けが上演権を侵害するとされた事例〜

事例78 店内装飾用写真事件(東京地裁平成10年11月26日判決)
〜著作権侵害に基づく損害賠償請求について同業他社の使用料基準を参考として通常使
用料相当額が算定された事例〜

事例79 ときめきメモリアル・アダルトビデオ事件(東京地裁平成11年8月30日判決)
〜コンピュータ用ゲームソフトの主要登場人物を改変してアダルトビデオを制作した行
為が、複製権侵害、同一性保持権侵害であるとともに翻案権の侵害に当たるとされた事
例〜

事例80 公共工事設計積算システム事件(広島高裁平成11年10月14日判決)
〜コンピュータプログラムを複製したとして告訴された被告人が、告訴権および告訴期
間について争ったが、有罪とされた事例〜

事例81 LEC事件(東京地裁平成13年5月16日判決)
〜プログラムを違法に複製をした場合、その後当該プログラムと同一の正規品を市場か
ら有償で入手したとしても損害賠償の額に影響を与えるものではないとされた事例〜

事例82 円谷プロ事件(最高裁平成13年6月8判決)
〜外国における著作権存在確認等請求事件の国際裁判管轄が肯定された事例〜

事例83 江差追分事件(最高裁平成13年6月28日判決)
〜言語の著作物における「翻案」の意義について判示された事例〜

事例84 キャンディ・キャンディ事件(最高裁平成13年10月25判決)
〜二次的著作物の著作権者であっても原著作者の許諾を得ないで二次的著作物を利用す
ることは許されないとされた事例〜

事例85 インターネットウェブサイト書籍要約文無断掲載事件(東京地裁平成13年12
月3日判決)
〜インターネット上にウェブサイトを開設し、他人の著作した書籍の要約文を作成して、
これをメールサービスによって会員に送信したり、ウェブサイトにアクセスした不特定
多数の者に対して広く公衆送信したりした行為が複製権、公衆送信権、公衆送信可能化
権等を侵害するとともに同一性保持権を侵害するとされた事例〜

事例86 雪月花事件(東京高裁平成14年2月18日判決)
〜他人の「書」がカタログ中の写真に映りこんでいるのが「書」の著作権(複製権・翻案権)
侵害との主張が斥けられた事例〜

事例87 どこまでも行こう・記念樹事件(東京高裁平成14年9月6日判決)
〜楽曲「記念樹」は楽曲「どこまでも行こう」の編曲であるとして編曲権侵害・著作者
人格権侵害による損害賠償が認められた事例〜

事例88 パソコン亭事件(東京地裁平成14年10月31日判決)
〜著作権法114条2項(旧1項)の「利益」とは侵害者が当該複製物の販売によって得
た現実の利益すなわち複製物の売上高から製造等に要した費用を控除した金額を意味す
るとした事例〜

事例89 「×○醤男と杏仁女」事件(東京地裁平成16年5月31日判決)
〜中国を本国とする著作物の保護につきベルヌ条約に基づいて日本法を準拠法とすると
ともに、Y小説におけるX詩の利用は正当な範囲内で行われたものとはいえないとされ
た事例〜

事例90 Winnyによる映画自動公衆送信事件(京都地裁平成16年11月30日判決)
〜Winnyを用いて映画を自動公衆送信して著作権侵害をしたとして刑事罰が科された事
例〜

事例91 NHK大河ドラマ「武蔵」事件(知財高裁平成17年6月14日判決)
〜NHK大河ドラマ「武蔵」は黒澤映画「七人の侍」の翻案権および亡黒澤明の著作者人格
権を侵害するものではないとされた事例〜

事例92 CATIAソフト事件(東京地裁平成19年3月16日判決)
〜ソフトウェア中のファイルの改変行為はソフトウェア全体に対する翻訳権侵害に当た
るとして約16億円の損害額が認容された事例〜

事例93 祇園祭写真事件(東京地裁平成20年3月13日判決)
〜八坂神社の祇園祭の写真に依拠して水彩画を制作した行為は、当該写真の翻案権を侵
害するとされ、八坂神社にも侵害について少なくとも過失があるとされた事例〜

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〔7〕著作権・著作隣接権侵害の主体性・侵害の幇助
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事例94 クラブキャッツアイ事件(最高裁昭和63年3月15日判決)
〜カラオケ伴奏による客の歌唱につきカラオケ装置を設置したスナック等の経営者が演
奏権侵害による不法行為責任を負うとされた事例(カラオケ法理)〜

事例95 カラオケボックス事件(東京地裁平成10年8月27日判決)
〜カラオケボックスにおける伴奏音楽の再生、レーザーディスクカラオケによる歌詞と
伴奏音楽の上映、顧客による再生された伴奏音楽に合わせた歌唱は、いずれも同店舗経
営者による音楽著作物の演奏・上映に該当し、来店する顧客は不特定多数であるから、
演奏権・上映権の侵害に当たるとされた事例〜

事例96 ナイトパブG7事件(最高裁平成13年3月2日判決)
〜カラオケ装置のリース業者は、リース契約の相手方が当該著作権者との間で著作物使
用許諾契約を締結しまたは申込みをしたことを確認したうえでカラオケ装置を引き渡す
べき条理上の注意義務を負うとされた事例〜

事例97 ヒットワン事件(大阪地裁平成15年2月13日判決)
〜カラオケ装置の提供者は管理著作物の著作権の侵害者または侵害するおそれがある者
に当たるとされた事例〜

事例98 2チャンネル小学館事件(東京高裁平成17年3月3日判決)
〜インターネット電子掲示板上で著作権侵害発言があったとして掲示板運営者に対して
当該発言の自動公衆送信等の差止めと損害賠償が命じられた事例〜

事例99 ファイルローグ事件(東京高裁平成17年3月31日判決)
〜電子ファイル交換サービスの中で著作権が侵害された場合はサービスの運営会社が送
信可能化権・自動公衆送信権の侵害主体になるとされた事例〜

事例100 録画ネット事件(知財高裁平成17年11月15日決定)
〜テレビ放送の録画サービスにおける複製行為の主体がサービス事業者であるとされた
事例〜

事例101 MYUTA事件(東京地裁平成19年5月25日判決)
〜携帯電話向けストレージサービスにおける著作権侵害の主体がそのサービス業者にあ
るとされた事例〜

事例102 選撮見録(よりどりみどり)事件(大阪高裁平成19年6月14日判決)
〜集合住宅用の映像記録配信システムを販売た業者が著作権・著作隣接権の侵害主体と
なるとされた事例〜

事例103 漫画のネット配信事件(東京地裁平成19年9月13日判決)
〜侵害行為者にインターネット・ブロードバンド回線を提供し、サーバーを提供した会
社は侵害行為の幇助者として共同不法行為責任を負うとされた事例〜

事例104 レストランカフェ・デサフィナード事件(大阪高裁平成20年9月17日判決)
〜レストランカフェが店において歌唱と楽器演奏によりJASRAC の管理著作物を演奏を
させて客に聴かせていることについて、店の経営者が演奏の主体であるとされた事例〜

事例105 まねきTV事件(知財高裁平成20年12月15日判決)
〜本件ベースステーションは「1対1」の送信を行う機能しか有していないものである
から自動公衆送信装置に該当しないとされた事例〜

事例106 ロクラクII事件(知財高裁平成21年1月27日判決)
〜本件テレビ番組の複製サービスは利用者の自由な意思に基づいて行われる適法な複製
行為の実施を容易ならしめるための環境・条件等を提供しているにすぎないとされた事
例〜

事例107 ウィニー事件(大阪高裁平成21年10月8日判決)
〜ファイル共有ソフトを開発していた者によるインターネットを介したファイル共有ソ
フトの提供行為が著作権法違反幇助に当たるとした一審判決が取り消されて無罪とされ
た事例〜

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〔8〕契約
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事例108 太陽風交点事件(東京地裁昭和59年3月23日判決)
〜出版社と著作権者間の単行本・文庫本の出版に関する契約は出版権設定との明示の文
言が交されていなくとも出版界の慣行からも全て出版権設定契約であるとする主張が斥
けられた事例〜

事例109 ダリ事件(東京地裁平成9年9月5日判決)
〜スペインの画家であるサルバドール・ダリの著作権について時間的な一部譲渡がされ
たと認定された事例〜

事例110 「どこまでも行こう」JASRAC事件(東京地裁平成15年12月26日判決)
〜著作権法27条の編曲権を侵害して創作された乙曲を二次的著作物とする著作権法28条
の権利は譲渡されることなく留保されているとされた事例〜

事例111 チョコエッグ・フィギュア事件(大阪高裁平成17年7月28日判決)
〜著作権使用許諾契約に違反して商品の製造数量を過少報告したとしてロイヤルティお
よび約定違約金の支払いが命じられた事例〜

事例112 システムK2事件(知財高裁平成18年8月31日判決)
〜交渉の過程からすれば、本件プログラムの著作権の譲渡契約は翻案権のみが留保され
たものとは認められないとされた事例〜

事例113 キャロル解散ライブ事件(知財高裁平成18年9月13日判決)
〜本件ドキュメンタリー映画の著作権は撮影代金を支払いマスターテープが引き渡され
た時点で承継したとされた事例〜

事例114 「The Boom」事件(東京地裁平成19年1月19日判決)
〜本件各契約には、原盤に関する「一切の権利」を「何らの制限なく独占的に」譲渡す
る旨の規定があること等を考慮すれば、送信可能化権も本件各契約の包括的な譲渡の対
象となるとされた事例〜

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〔9〕著作権の保護期間
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事例115 映画「ローマの休日」事件(東京地裁平成18年7月11日決定)
〜1953年(昭和28年)に制作された映画は2003年(平成15年)12月31日をもって存続期間が
満了し、改正法が施行された平成16年1月1日においては改正前の著作権法による著作
権は既に消滅しているとして保護期間の延長を認めなかった事例〜

事例116 映画「シェーン」事件(最高裁平成19年12月18日判決)
〜昭和28年(1953年)に公表された映画は、平成15年改正法による保護期間の延長措置の
対象とはならず、平成15年(2003年)12月31日をもって存続期間が満了し消滅したとされ
た事例〜

事例117 チャップリン映画DVD事件(知財高裁平成20年2月28日判決)
〜チャップリン映画の著作権はチャップリンの死亡から起算され、2015年までの38年間
となるとされた事例〜

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〔10〕その他
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事例118 サザエさん事件(東京地裁昭和51年5月26日判決)
〜漫画「サザエさん」のキャラクターを利用するもので著作権を侵害するとされた事例〜

事例119 マーク・レスター事件(東京地裁昭和51年6月29日判決)
〜映画の上映権・宣伝権を有する会社が主演者に無断でその映画中の肖像をテレビコマ
ーシャルに提供し主演者の肖像・氏名についての利益を侵害したとして財産的、精神的
損害の賠償を認めた事例〜

事例120 ポパイ・マフラー事件(最高裁平成2年7月20日判決)
〜漫画「ポパイ」の著作権者の許諾を得て「ポパイ」の標章を付した商品を販売している者
に対して商標権の侵害を主張するのは公正な競業秩序を乱すものであるとして権利の濫
用とされた事例〜

事例121 おニャン子クラブ事件(東京高裁平成3年9月26日判決)
〜テレビタレントの氏名・肖像写真を無断で印刷したカレンダーを販売する行為につい
て、パブリシティ権に基づく差止めと損害賠償が認められた事例〜

事例122 ポパイ・ネクタイ事件(最高裁平成9年7月17日判決)
〜漫画の登場人物のキャラクターの著作物性を否定し、連載漫画の著作権の保護期間は
後続の漫画に登場する人物が先行する漫画に登場する人物と同一と認められる限り当該
登場人物については最初に公表された漫画の著作権の保護期間によるとされた事例〜

事例123 中田英寿事件(東京高裁平成12年12月25日判決)
〜プロサッカー選手Xの半生を描いた書籍の発行がパブリシティ権の侵害には当たらな
いがプライバシー権の侵害になるとされ、書籍中のXの詩の掲載は公表された著作物の
「引用」には当たらないとされた事例〜

事例124 ギャロップレーサー・競走馬パブリシティ事件(最高裁平成16年2月13日判決)
〜競走馬という物のパブリシティ権の侵害を理由として差止請求や不法行為に基づく損
害賠償請求をすることはできないとされた事例〜
事例125 「通勤大学法律コース」事件(知財高裁平成18年3月15日判決)
〜Xの一般向け法律書の文章がありふれた表現であるとして著作物性は否定されたが、
Yは他人の執筆の成果物を不正に利用して利益を得たものであるから不法行為を構成す
るとされた事例〜

事例126 プロ野球選手肖像権事件(知財高裁平成20年2月25日判決)
〜プロ野球選手は球団に対して氏名および肖像の使用を球団に独占的に許諾したものと
解するのが相当であるとされた事例〜

事例127 博士キャラクター事件(東京地裁平成20年7月4日判決)
〜角帽やガウンをまとい髭を生やした博士の絵柄はアイデアにすぎないとして、キャラ
クターに基づく複製権・翻案権侵害を認めなかった事例〜

事例128 ピンク・レディー事件(東京地裁平成20年7月4日判決)
〜女性週刊誌がピンク・レディの写真を無断使用したことがパブリシティ権を侵害する
不法行為には当たらないとされた事例〜

事例129 黒澤明映画(東宝)事件(知財高裁平成20年7月30日判決)
〜「監督 黒澤明」「演出 黒澤明」との表示がある映画は、著作者の実名を表示して興行さ
れた著作物であり、著作権の存続期間は旧著作権法3条が適用され、少なくとも著作者
の一人である黒澤監督の死後38年間存続するとされた事例〜

事例130 土地宝典事件(知財高裁平成20年9月30日判決)
〜法務局における資料閲覧者のコインコピー機による違法製行為を放置したことが国も
共同不法行為者になるとされた事例〜

事例131 北朝鮮映画事件(知財高裁平成20年12月24日判決)
〜北朝鮮の国民を著作者とする著作物は、著作権法6条3号の「条約によりわが国が保
護の義務を負う著作物」に当たらないが、無許諾の放映は不法行為を構成するとされた
事例〜

事例132 中山麻理写真事件(東京地裁平成20年12月24日判決) 
〜断りなくの氏名・肖像等を広告に使用された者が芸能人であっても、社会的評価が下
がったか否かにかかわらず慰謝料を請求することができるとされた事例〜

事例133 小室哲哉音楽著作権詐欺事件(大阪地裁平成21年5月11日判決)
〜音楽プロデューサーXが自己の音楽作品の著作権が音楽出版社等に譲渡等されていた
事実を隠して譲渡代金の一部として5億円を騙し取った事例〜

判例索引

参考文献



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