お問い合わせ刊行物の購入方法通信販売のご案内刊行物のご案内TOPページ(財)経済産業調査会TOPページ
財団法人経済産業調査会 出版案内
分類通商産業政策史1980−2000
上段PR画像


(第8回配本)

書籍表紙画像


▼発売中
全12巻完結しました。簡単・便利・最速の通信販売をご利用下さい。


通商産業政策史1980−2000  
通商・貿易政策
通商産業政策史編纂委員会 編
阿部  武司  編著


発行 2013年 2月 5日 A5判 上製 920ページ

本体 11,000円(+税)  送料 実費

ISBN978-4-8065-2867-8

>> 各巻共通チラシ/申込書(PDF)

書籍の購入方法ボタン   お問い合わせボタン   オンライン購入のボタン

   内容紹介 「第2巻編纂にあたって」より  イメージ
本巻は、1980(昭和55)年から2000(平成12)年までを中心として前後の時期にも必要に応じて論及しつつ、その間に通商産業省(以下「通産省」)の通商政 策局及び貿易局が立案・実施してきた通商・貿易政策を取り扱う。グローバリゼーションが飛躍的に進んだこの時期に対外経済政策を担当する通産省の役割は以前に増してはるかに重要となった。そして同省が当面する課題は従来の輸出振興を中心とした施策の実施から、様々な観点からの国際協調を重視しつつ国益を追求するという複雑な性格を帯びるようになり、次々と生じる問題の解決にも困難なケースが増えていった。

本巻の概要を簡単に紹介しておけば、序章で世界と我が国の経済情勢、我が国の国際収支の動向をみたのち、20世紀最後の四半世紀における最大のトピックともいいうる日欧米間貿易摩擦問題の推移、及び通商貿易政策の基調を概観し、その後、第I部では主として対米欧貿易摩擦問題の展開とそれに対し我が国が講じた施策とが記述される。具体的には、第1章で貿易摩擦問題の深刻化とそれへの対応が検討されたのち、第2章でこの問題の抜本的解決策としての輸入拡大・市場開放・規制緩和という輸入関連の諸政策が、続いて第3章第1節では前章と密接に関わる輸出秩序維持政策が、それぞれ説かれる。同章第2−3節ではさらに、20世紀末に重要度が高まった安全保障貿易管理、及び貿易保険について説明される。

第II部では、世界の通商・貿易体制の変貌とそれに対する我が国の対応が明らかにされる。まず第1−2章で、1986年に始まるGATT(関税及び貿易に関する一般協定)ウルグアイ・ラウンド交渉の展開と、同交渉の結果として1995年に発足したWTO(世界貿易機関)の展開過程が説かれ、その中で我が国が関連した紛争の解決の経緯が具体的に説明される。さらに、制裁をちらつかせつつ二国間の交渉で貿易摩擦を解決しようとする米国への対応に苦慮した我が国が、GATT(後にWTO)を中心とした多角的な貿易体制及びそこで示されたルールを尊重する「ルール志向型」の通商政策を重視するようになったことも論じられる。第3章では、輸入救済法に関する我が国の対応が明らかにされる。輸出の目覚ましい伸びを背景に、長らく外国の反ダンピング措置などの輸入救済措置を発動される側だった我が国が、21世紀に入ってからセーフガードなどを通じてそれを発動する立場に転じつつある事実が述べられている。第4章では、20世紀が終わりに近づくにつれて1992年のNAFTA(北米自由貿易協定)や1993年のEU(欧州連合)の成立にみられる通り、欧米諸国で地域主義が展開していく中で、通産省の主導によって1989年に「開かれた地域主義」を標榜するAPEC(アジア太平洋経済協力)が実現しその後変容していったこと、WTO を中心とした多角的貿易体制を重視する一方でFTA(2か国以上の間で締結される「自由貿易地域」)の締結に否定的だった我が国が、世界の大勢に追いつくべく20世紀の最終末になってFTAの実現に向けて方向を徐々に転換していったことが明らかにされる。第5章ではODA(政府開発援助)が、開発途上国への支援もさることながら、通産省によって経済的国益の追求のために推進されてきたこと、さらに、1980年代半ば以降1997年のアジア通貨危機まで通産省が進めてきたアジア工業化政策が近年のASEAN 地域全体の発展に大きく貢献してきたことなどが論じられる。

以上の簡単な紹介からもうかがわれる通り、本巻が対象とする時期の通商・貿易政策はきわめて多岐の分野にわたっており、1人ないし数名によってその全貌が容易に把握できるものではない。従って、本シリーズの他の巻に比べてこの巻は大部となったのみならず、別掲の通り、異例なほど多数の執筆者に協力を求めることになった。注意深い読者は、同じ事実を論じた記述を何度か見出されるであろうが、その大部分は、たとえば経済史学と法学というような異なった視点から同一の事実が説明されているとお考えいただきたい。

20世紀末における我が国の通商・貿易政策が本書で全て語りつくされている訳ではないが、重要な事実の大部分は説明されているものと筆者は考えている。本書は、通産省の活動の記録であるとともに、学術研究にも貢献する内容となるように努めた。加えて、現在大きな政治的問題となっている環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への参加の是非などについて読者が冷静に考える際の参考になれば幸いである。

2012年11月
第2巻執筆責任者 阿部 武司


主要目次
通商産業政策史の発刊に寄せて/経済産業大臣 海江田 万里
序通商産業政策史編纂委員長/尾 煌之助
通商産業政策史編纂委員会
第2巻編纂にあたって/第2巻執筆責任者 阿部 武司

凡例

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
序章 日本の対外経済関係と通商貿易政策の基調
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ――欧米における保護主義の展開とそれへの対応――
 第1節 はじめに
 第2節 石油危機以後の世界と日本(1973〜84年)
   1.世界経済の停滞と日本経済の発展
   2.国際収支の動向
   3.日本の輸出の躍進に対する欧米からの批判
   4.通商貿易政策の基調
 第3節 円高の定着と日本の富裕化(1985〜1990年)
   1.国際情勢の変化と日本経済の変容
   2.国際収支の動向
   3.欧米との貿易摩擦の激化への新たな対応策
   4.通商貿易政策の基調
 第4節 グローバリゼーションの進展と日本経済(1990〜2000年)
   1.グローバリゼーションの進展と日本経済の「失われた10年」
   2.国際収支の動向
   3.貿易摩擦問題の沈静化とルール志向型通商政策
   4.通商貿易政策の基調

第I部 経済大国の責任と貿易政策

━━━━━━━━━━━━━
第1章 対米欧貿易摩擦交渉
━━━━━━━━━━━━━
 第1節 日米貿易摩擦の展開
   1.米国における対日批判の高まり
   2.MOSS 協議
   3.米国1974年通商法301条とスーパー301条
   4.スーパー301条をめぐる三つの交渉
   5.日米構造問題協議
   6.日米包括経済協議
   7.個別協議
   8.小括
 第2節 日欧貿易摩擦交渉
   1.第一次石油危機直後における貿易摩擦問題の再燃
   2.1980年代における貿易摩擦問題の深刻化
   3.1990年代における貿易摩擦問題の鎮静化

━━━━━━━━━━━━━
第2章 輸入拡大と市場開放
━━━━━━━━━━━━━
 第1節 輸入拡大政策
 1.輸入拡大政策の展開
 2.輸入拡大政策の実働部隊―JETRO とMIPRO
 第2節 市場開放及び規制緩和政策
 1.通商摩擦の激化と輸入規制の緩和
 2.市場開放の推進
 3.アクション・プログラムの推進

━━━━━━━━
第3章 輸出政策
━━━━━━━━
 第1節 輸出秩序維持政策
   1.輸出管理体制の枠組みとその自由化
   2.輸出入取引法に基づく輸出規制
   3.輸出検査法の運用―輸出品の検査―
   4.輸出品デザイン法の運用
   5.輸出管理と規制緩和
 第2節 安全保障貿易管理の展開
   1.ココム型輸出管理
   2.ココム型輸出管理から不拡散型輸出管理へ
 第3節 貿易保険
   1.1970年代におけるプラント輸出と海外投資の促進、及び国際的輸出信用条件の整備
   2.1980年代における発展途上国の累積債務問題等による事業収支の悪化
   3.1990年代における世界経済のグローバル化と貿易保険
   4.独立行政法人日本貿易保険の設立

第II部 多国間通商調整と国際協力

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第1章 ウルグアイ・ラウンドの締結とWTO の発足(1982〜1994年)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 第1節 ウルグアイ・ラウンド交渉(総論)
   1.新ラウンド開始に向けた動き
   2.新ラウンドの開始
   3.交渉の評価
 第2節 ウルグアイ・ラウンド交渉における主要個別イシュー(各論)
   1.鉱工業品関税引下げ
   2.繊維・衣類分野
   3.アンチ・ダンピング(Anti-Dumping,AD)協定
   4.セーフガード協定
   5.補助金及び相殺措置に関する協定
   6.スタンダードコード(TBT 協定)
   7.新分野
 第3節 日本が関連したGATT 紛争
   1.序
   2.キャブ・シャーシ事件〜「ポワチエの戦い」―法律主義の胎動―
   3.皮革製品輸入制限事件〜半導体第三国輸出モニタリング事件
    ―「盾」としての法律主義?―
   4.EEC・部品アンチ・ダンピング税事件以後
    ―対日アンチ・ダンピング案件と「攻撃的法律主義」への転換―
   5.総括
 第4節 ウルグアイ・ラウンド交渉期における新たな通商政策の胎動
   1.公正貿易推進室の新設と『不公正貿易報告書』の発刊:ルール志向型基準の採用
   2.通商政策決定における国内産業との緊密な連携
   3.学界との協力体制:「パネル研究会」の発足

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第2章 WTO 体制の発足と我が国通商戦略(1995〜2001年)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 第1節 WTO 体制の発展と挫折
   1.シンガポール閣僚会議とシンガポール・イシュー
   2.シアトル閣僚会議までの経緯
   3.ドーハ閣僚会議の難航と新ラウンドの開始
   4.中国WTO 加盟に関する交渉
 第2節 我が国のWTO 紛争解決手続の利用状況
   1.概観
   2.具体的事件の紹介
   3.分析

━━━━━━━━━━━━━━━
第3章 日本の輸入救済法の発動
━━━━━━━━━━━━━━━
 ―被発動国から発動国へ―
 第1節 1980〜90年代〜被発動国としての日本〜
   1.被発動国としての我が国の状況
   2.発動国としての消極姿勢
   3.ウルグアイ・ラウンド合意と国内輸入救済法制の整備
 第2節 21世紀の幕開けと輸入救済法
    〜転換点としての中国・農産物3品目セーフガード〜665
 第3節 2001年以降〜発動国への歩み〜
   1.制度の発展
   2.調査・発動案件

━━━━━━━━━━━
第4章 地域主義と日本
━━━━━━━━━━━
 はじめに
 第1節 欧米の地域主義
   1.米国の方針転換と日米自由貿易構想
   2.NAFTA 
   3.欧州の市場統合への動き
 第2節 日本のAPEC 構想への取り組み
   1.APEC 以前
   2.APEC の誕生
   3.初期のAPEC(1989〜1992年まで)
   4.APEC の自由化フォーラムへの変身
   5.EVSL の失敗とAPEC の失速
   6.その後のAPEC
 第3節 日本のFTA への道
   1.1998年以前の日本のFTA への態度
   2.FTA の検討開始
   3.日星FTA 
   4.日墨FTA 
   5.日本のFTA 推進路線
   まとめ

━━━━━━━━━━
第5章 経済協力政策
━━━━━━━━━━
 第1節 アジア工業化政策の開始
   1.ODA 政策
   2.アジア工業化政策
 第2節 ASEAN のネットワーク化と円借款制度の模索
   1.アジア工業化政策
   2.アジア通貨危機と輸出振興政策の再開
 
あとがき
参考文献
索引



 bookinfo@chosakai.or.jp

 http://www.chosakai.or.jp/book/

無断転載を禁じます 財団法人経済産業調査会
Copyright 1998-2001 Reserch Institute of Economy, Trade and Industry.
お問い合わせ刊行物の購入方法通信販売のご案内刊行物のご案内TOPページ(財)経済産業調査会TOPページ