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産業競争力強化法逐条解説
経済産業省  編

発行 2014年 5月 22日  A5判 640ページ

本体 4,500円(+税)  送料 実費

ISBN978-4-8065-2935-4

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   はじめに より  イメージ
平成24年12月26日に発足した第2次安倍内閣は、我が国経済を、バブル経済崩壊から20年以上続く低迷とデフレから早期に脱却させ、持続的な経済成長を実現することで、強い経済、強い日本を創造するために「3本の矢」と呼ばれる、これまでと質・量ともに次元の異なる3つの柱からなる経済政策、いわゆる「アベノミクス」を推進してきている。

アベノミクス「第1の矢」は「大胆な金融政策」である。具体的には、政府と日本銀行が共同で、消費者物価の対前年比上昇率2%を「物価安定目標」とすることを初めて明らかにし、その早期実現のために、マネタリーベースを2年で2倍にすることなどを内容とする「量的・質的金融緩和」の導入を決定した。

これに続くアベノミクス「第2の矢」は「機動的な財政政策」である。景気の底割れを回避し、成長戦略につなげていくことなどを目的として、平成25年度当初予算と合わせた15ヶ月予算の考え方の下、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」及びこれを具体化する13兆円に上る過去最大額(リーマンショック後の非常事態を除く。)の平成24年度補正予算を決定した。

これら「第1の矢」、「第2の矢」によるデフレマインドの払拭によって、我が国経済の足下の状況を示す消費、雇用、株価、賃金などの指標は着実に好転しており、安倍政権の発足以降、我が国経済は、世界的に見ても最高水準の経済成長率を実現している。

アベノミクス「第3の矢」は、我が国経済が、景気回復を超えて持続的な発展の軌道に乗り、再興することを目指した「民間投資を喚起するための成長戦略」である。政府は、この「成長戦略」として、今後10年間の平均で名目GDP成長率3%程度、実質GDP成長率2%程度を実現し、10年後に1人当たり名目国民総所得(GNI)を150万円以上アップさせるという目標を掲げた「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)を策定した。

産業競争力強化法(以下、「本法」。)は、まさに、この「日本再興戦略」を政府一体となって強力に実行するための仕組みを構築するものである。

同時に、本法は、「日本再興戦略」を構成する3つのプランの1つである「日本産業再興プラン」における「緊急構造改革プログラム(産業の新陳代謝の促進)」を実行するという、より具体的な役割も担っている。すなわち、日本経済が抱える3つの歪み、「過剰規制」、「過小投資」、「過当競争」を根本から是正し、グローバル競争に勝ち抜く筋肉質の日本経済にするため、平成29年度までの今後5年間を「緊急構造改革期間」と位置付け、集中的に取組を進めるものである。具体的には、(1)民間投資を拡大し、設備の新陳代謝を図り、イノベーションの源泉を強くする、(2)過剰規制を改革し、萎縮せずに新事業にチャレンジできる仕組みを創る、(3)過当競争を解消し、収益力を飛躍的に高め世界で勝ち抜く製造業その他我が国産業を復活させる――本法はこれら3つの狙いを実現するためのキードライバーに位置づけられる。

平成11年、バブル経済崩壊後の過剰設備や過剰債務等のいわゆる「3つの過剰」の解消に向け、生産性の高い分野への経営資源のシフトを促すため産業活力再生特別措置法が制定された。同法は、その後、累次の改正を重ね「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」(以下「産活法」。)に名称を変えたが、本法は、「産業の新陳代謝の活性化」を促進するという観点から、生産性の高い分野への経営資源のシフトを促すという産活法の精神を承継しつつ、いわばイノベーションによる新需要開拓を、これと並ぶ柱としている。このことは、本法第2条において、「産業競争力」を「高い生産性」及び「十分な需要」を確保することにより、高い収益性を実現する能力としている点に明らかである。

よって、本法の支援措置は、産活法の支援措置を、現下の経済情勢やこれまでの運用、加えてイノベーションによる新需要開拓の重視という観点から見直し、「産業の新陳代謝の活性化」に資するよう発展・拡充したものとなっている。例えば、事業再編の円滑化に関しては、複数の企業が経営資源を切り出し・統合することで、世界に通用する強い事業を創出する、新事業に挑戦するといった事業再編を、特に強力に支援することとしている。

また、事業拡張期にあるベンチャー企業に対するベンチャーファンドを通じたリスクマネー供給の促進や企業の事業再生支援の強化を図っている。更には、イノベーションによる新需要開拓の促進の観点から、これまでにあった「全国単位」や「地域単位」ではなく、「企業単位」の規制改革を推進するための支援措置を新たに盛り込んでいる。なお、このような事情から、本法の施行に伴い、産活法は廃止している。

これまでの政府による産業政策の歴史をやや乱暴に概括すれば、昭和53年に構造不況産業について過剰設備を計画的に処理すること等により石油危機後の不況の克服と経営の安定を図ることを目的として制定された「特定不況産業安定臨時措置法」を皮切りに、「特定産業構造改善臨時措置法」、「産業構造転換円滑化臨時措置法」、「特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法」、そして「産業活力再生特別措置法」と、時々の経済情勢に応じながらも、特定業種を対象とする産業政策から業種横断的な産業政策としての性格を強めてきたといえる。本法は、この延長線上に新たに位置づけられ、業種横断的な産業政策を講じるものとなっている。そして、これらの中にあって、法律の名称、また法目的からも明らかであるとおり、最も包括的な政策といえる。したがって、本法は、平成30年3月31日までの時限立法としての性格を有するものの、今後の発展の可能性を大いに有し、将来の産業政策に基盤を提供できるものとなっている。

本法は、「成長戦略実現国会」と位置づけられた平成25年秋の臨時国会に提出され、同年12月11日公布、平成26年1月20日には直ちに施行された。平成26年4月の現在において、既に、本法が我が国の産業競争力の強化に資する企業の取組を後押しする事例が出てきている。

今後も本法が積極的に活用され、我が国の産業競争力が真に実現され、我が国経済の再興に寄与することを切に願っている。

平成26年4月
産業再生課


主要目次
■総論
━━━━━━━━━━━
産業競争力強化法の概要
━━━━━━━━━━━
(1)「規制改革」を強力に推進するための制度の創設
  -1- 企業実証特例制度(通称)の創設
  -2- グレーゾーン解消制度(通称)の創設
(2)「産業の新陳代謝」の活性化を促進するための支援策
  -1- ベンチャー企業の成長支援
  -2- 事業再編の円滑化
  -3- 事業再生の円滑化
  -4- リスクの高い先端設備投資の促進
  -5- 事業活動における知的財産の活用を促進するための措置
(3)産業革新機構によるオープンイノベーションの推進
(4)中小企業の活力の再生
  -1- 地域での創業の促進
  -2- 中小企業の事業再生の支援

■逐条解説
━━━━━━
第1章 総則
━━━━━━
  第1条(目的)
  第2条(定義)
  Column 生産性の向上につながる設備投資を促進するための税制措置について
  第3条(基本理念)
  第4条(国の責務)
  第5条(事業者の責務)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第2章 産業競争力の強化に関する実行計画
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  第6条(実行計画)
  第7条(担当大臣の責務)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第3章 新事業活動に関する規制の特例措置の整備等及び規制改革の推進
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  第8条(新たな規制の特例措置の求め)
  第9条(解釈及び適用の確認)
  第10条(新事業活動計画の認定)
  第11条(新事業活動計画の変更等)
  第12条(政令等で規定された規制の特例措置)
  第13条(独立行政法人中小企業基盤整備機構の行う新事業活動円滑化業務)
  第14条(規制の特例措置の見直し)
  第15条(規制改革の推進)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第4章 産業活動における新陳代謝の活性化
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 第1節 特定新事業開拓投資事業及び特定研究成果活用支援事業の促進
  第16条(特定新事業開拓投資事業及び特定研究成果活用支援事業の実施に関する指針)
  第17条(特定新事業開拓投資事業計画の認定)
  第18条(特定新事業開拓投資事業計画の変更等)
  Column 民間企業等によるベンチャー投資を促進するための税制措置について
  第19条(独立行政法人中小企業基盤整備機構の行う特定新事業開拓投資事業円滑化業務)
  第20条(特定研究成果活用支援事業計画の認定)
  第21条(特定研究成果活用支援事業計画の変更等)
  第22条(国立大学法人等の行う出資等業務)
 第2節 事業再編の円滑化
  第23条(事業再編の実施に関する指針)
  第24条(事業再編計画の認定)
  第25条(事業再編計画の変更等)
  第26条(特定事業再編計画の認定)
  第27条(特定事業再編計画の変更等)
  Column 事業再編の円滑化のための税制措置について
  第28条(公正取引委員会との関係)
  第29条(現物出資及び財産引受の調査に関する特例)
  第30条(株式の発行等に係る現物出資の調査に関する特例)
  第31条
  第32条(特別支配会社への事業譲渡等に関する特例)
  第33条(株式の併合に関する特例)
  第34条(株式を対価とする公開買付けに際しての株式の発行等に関する特例)
  第35条(全部取得条項付種類株式の発行及び取得に関する特例)
  第36条(事業の譲渡の場合の債権者の異議の催告等)
  第37条(投資事業有限責任組合契約に関する法律の特例)
  第38条(独立行政法人中小企業基盤整備機構の行う事業再編円滑化業務)
  第39条(公庫の行う事業再編促進円滑化業務)
  第40条(事業再編促進円滑化業務実施方針)
  第41条(指定金融機関の指定)
  第42条(指定の公示等)
  第43条(業務規程の変更の認可等)
  第44条(協定)
  第45条(帳簿の記載)
  第46条(監督命令)
  第47条(業務の休廃止)
  第48条(指定の取消し等)
  第49条(指定の取消し等に伴う業務の結了)
  第50条(調査等)
 第3節 事業再生の円滑化
  第51条(認証紛争解決事業者の認定)
  第52条(調停機関に関する特例)
  第53条(独立行政法人中小企業基盤整備機構の行う事業再生円滑化業務)
  第54条(中小企業信用保険法の特例)
  第55条
  第56条(償還すべき社債の金額の減額に関する特定認証紛争解決事業者の確認)
  第57条(社債権者集会の決議の認可に関する判断の特例)
  第58条(資金の借入れに関する特定認証紛争解決事業者の確認)
  第59条(再生手続の特例)
  第60条(更生手続の特例)
 第4節 設備導入促進法人
  第61条(設備導入促進法人の指定)
  第62条(指定の公示等)
  第63条(役員の選任及び解任)
  第64条(業務規程)
  第65条(事業計画等)
  第66条(区分経理)
  第67条(責任準備金)
  第68条(帳簿の記載)
  第69条(財務及び会計に関し必要な事項の経済産業省令への委任)
  第70条(監督命令)
  第71条(業務の休廃止)
  第72条(指定の取消し等)
  第73条(指定の取消しに伴う措置)
  第74条(情報の提供等)
 第5節 事業活動における知的財産権の活用
  第75条

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  第5章 株式会社産業革新機構による特定事業活動の支援等
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 第1節 総則
  第76条(機構の目的)
  第77条(数)
  第78条(株式の政府保有)
  第79条(株式、社債及び借入金の認可等)
  第80条(政府の出資)
  第81条(商号)
 第2節 設立
  第82条(定款の記載又は記録事項)
  第83条(設立の認可等)
  第84条
  第85条(設立時取締役及び設立時監査役の選任及び解任)
  第86条(会社法の規定の読替え)
  第87条(会社法の規定の適用除外)
 第3節 管理
  第88条(取締役及び監査役の選任等の認可)
  第89条(取締役等の秘密保持義務)
  第90条(産業革新委員会の設置)
  第91条(委員会の権限)
  第92条(委員会の組織)
  第93条(委員会の運営)
  第94条(委員会の議事録)
  第95条(委員の登記)
  第96条(定款の変更)
 第4節 業務
  第97条(業務の範囲)
  第98条(支援基準)
  第99条(支援決定)
  第100条(支援決定の撤回)
  第101条(株式等の譲渡その他の処分等)
 第5節 国の援助等
  第102条
 第6節 財務及び会計
  第103条(予算の認可)
  第104条(剰余金の配当等の決議)
  第105条(財務諸表)
  第106条(政府保証)
 第7節 監督
  第107条(監督)
  第108条(財務大臣との協議)
  第109条(業務の実績に関する評価)
 第8節 解散等
  第110条(機構の解散)
  第111条(合併等の決議)

━━━━━━━━━━━━━━
  第6章 中小企業の活力の再生
━━━━━━━━━━━━━━
 第1節 創業等の支援
  第112条(創業支援事業の実施に関する指針)
  第113条(創業支援事業計画の認定)
  第114条(創業支援事業計画の変更等)
  Column 創業支援事業計画認定地域における登録免許税の軽減
  第115条(中小企業信用保険法の特例)
  第116条
  第117条(認定市町村に対する情報の提供等)
  第118条(中小企業信用保険法の特例)
  第119条(新事業の開拓の成果を有する中小企業者の国等の契約における受注機会の増大への配慮)
 第2節 中小企業承継事業再生の円滑化
  第120条(中小企業承継事業再生の実施に関する指針)
  第121条(中小企業承継事業再生計画の認定)
  第122条(中小企業承継事業再生計画の変更等)
  Column 中小企業承継事業再生計画に係る登録免許税の軽減
  第123条(特定許認可等に基づく地位の承継等)
  第124条(中小企業信用保険法の特例)
  第125条(中小企業投資育成株式会社法の特例)
 第3節 中小企業再生支援体制の整備
  第126条(中小企業の事業の再生の支援に関する指針)
  第127条(認定支援機関)
  第128条(中小企業再生支援協議会)
  第129条(秘密保持義務)
  第130条(改善命令)
  第131条(認定の取消し)
  第132条(中小企業信用保険法の特例)
  第133条(独立行政法人中小企業基盤整備機構の行う再生支援業務)

━━━━━━━━━━━
  第7・8章 雑則・罰則
━━━━━━━━━━━
  第134条(資金の確保)
  第135条(雇用の安定等)
  第136条(中小企業者への配慮)
  第137条(報告の徴収)
  第138条(指定金融機関等に対する報告の徴収等)
  第139条(連絡及び協力)
  第140条(主務大臣等)
  第141条(権限の委任)
  第142条(機構と事業活動の計画の認定等との関係)
  第143条(経過措置)
  第144条
  第145条
  第146条
  第147条
  第148条
  第149条
  第150条
  第151条
  第152条
  第153条
  第154条
  第155条
  第156条

━━
附則
━━
  第1条(施行期日)
  第2条(見直し)
  第3条(訓令又は通達に関する措置)
  第4条(産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の廃止)

■関係法令集
(産業競争力強化法全体)
  産業競争力強化法
  産業競争力強化法施行令
  産業競争力強化法施行規則
  経済産業省関係産業競争力強化法施行規則
(特定新事業開拓投資事業・特定研究成果活用支援事業)
  特定研究成果活用支援事業計画の認定等に関する省令
  特定新事業開拓投資事業及び特定研究成果活用支援事業の実施に関する指針
(事業再編)
  事業再編の実施に関する指針
(事業再生)
  産業競争力強化法第56条第1項の経済産業省令・内閣府令で定める基準を定める命令
  経済産業省関係産業競争力強化法施行規則第29条第2項の規定に基づき認証紛争
  解決事業者が手続実施者に確認を求める事項
  経済産業省関係産業競争力強化法施行規則第29条第1項第1号の資産評定に関する基準
(産業革新機構による特定事業活動の支援)
  株式会社産業革新機構支援基準
(中小企業の活力の再生)
  創業支援事業の実施に関する指針
  中小企業承継事業再生の実施に関する指針
  国、地方公共団体、独立行政法人中小企業基盤整備機構及び認定支援機関が講ず
  べき支援措置に関する指針
(附帯決議)
  産業競争力強化法案に対する附帯決議(衆議院)
  産業競争力強化法案に対する附帯決議(参議院)

執筆者一覧



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