倉内義朗先生は努力の人である。弁理士会副会長を務め上げ、弁理士として功なり名を遂げた５０代になってから一念発起して北海道大学大学院法学研究科修士課程に入学した。大阪での事務所経営の傍ら、学期中、毎週１〜２回札幌まで通学したうえ、修士論文を仕上げることは想像するだに大変な作業だったと思うが、所定の２年間で無事、これを成し遂げ、修士号を取得した。そのような倉内先生が、日英中対訳の特許に関する用語集を出版するという。見れば、単純な辞典ではなく、特許の取得手続と侵害訴訟の流れにそって基本となる文書を対訳で紹介している。通常の辞書と異なり、この分量と文章の流れであれば通読に難くない。他方、重要な単語は見出しとしても掲げられており、通常の辞書的に活用することもできる。一挙に数時間をかけて読み通したり、通勤途上等のすきま時間を活用したり、使い方は人それぞれであろうが、一冊で基礎となる語彙力を増やすことができる。本書には、倉内先生のこのような本が欲しかったという長年の実務経験での思いが反映されているのだろう。推薦できる一冊である。

北海道大学大学院法学研究科教授
田村 善之

　知的財産の世界は国際的な仕事が増大し、実務上、英語の必要性は勿論のこと、中国語の使用と理解がとても重要になってきています。

　わたしは、２０１３年（平成２５年）４月「日・中・英　知的財産用語　用例集」をつくりました。この本は、言葉の読み順にまとめてありますので利用には便利な面もありますが、特許権の取得とか保護などの流れに即していないため、具体的な事案の当てはめに利用することはできませんでした。そこで、今回、日本において特許権を得ることと特許権の係争等に的を絞るとともに、実務手続きの流れに沿った「日本における特許権の取得と侵害に関する実務解説」を出すことにしました。

　実務解説文と、実務用語　用例等は、日本語、英語、中国語で三段に表しました。

　知的財産、特に特許の実務に関心のある方、しかも英語や中国語に興味がある方がこれから特許の勉強される際の参考書としてお使いくださることを願っています。 私事ですが、２０１６年（平成２８年）２月に古希（７０歳）を迎えました。これは、私の古希記念本でもあります。

平成２８年６月
弁理士　倉内義朗

倉内 義朗（くらうち ぎろう）

弁理士
１９４６年生まれ
関西大学法学部法律学科卒
北海道大学大学院法学研究科修士課程修了
元 吉備国際大学教授

現在の所属先
大阪市北区曽根崎１−１−２　大阪三信ビル５階
特許業務法人あーく特許事務所

東京都港区虎ノ門１−１−２１　新虎ノ門実業会館８階
特許業務法人プロウィン特許商標事務所