本書では、イノベーションこそ日本経済の成長の鍵であるという認識のもと、将来の成長率の試算も含めて政策課題を提言しております。是非、ご一読ください。
我が国の経済は、デフレ傾向が見られる中、一昨年秋以降の米国市場を中心としたIT関連需要の急激な拡大の反動減が要因となった世界経済の減速、さらに昨年9月の米国同時多発テロ事件等の影響もあって、個人消費がさらに落ち込み経済低迷が継続することが懸念されています。
日本経済は、90年代以降ほぼ一貫して需要不足の状態にあります。この問題は、バブル崩壊に伴う資産デフレや金融機能の低下による需給構造の非効率性の問題としての側面もありますが、むしろ、新しい需要、投資機会が十分に生まれてこない需要構造の問題であると考えられます。すなわち、漠然とした将来不安から来る「需要の萎縮」と潜在需要を開拓できない「イノベーションの欠如」の構造であります。
国民の潜在ニーズに的確に応えるイノベーションを生むことができれば、需要を喚起することができ、需要を喚起しつつ供給構造の改革を一体的に行うことにより、イノベーションが需要を生み、需要が所得の向上と更なるイノベーションを生むという「イノベーションと需要の好循環」を創り出すことができれば、供給構造、需要構造一体となった無理のない「経済構造改革」を実現できます。
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