本書は、特許協力条約(PCT)の成立の経緯ないし問題点を解明しようとするものである。昨今、特許協力条約に基づく国際出願の利用は急激に増加しているとともに、それによせる期待も大きく、よりよい制度への改善が求められ、検討が開始されている。
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第一章は、PCTの概要を把握するに必要な事項について説明したものである。
第二章は、1966年9月の勧告から1970年6月19日の外交会議までの経緯を辿りながら、客観的な資料に基づき特許協力条約の内容を究明することを試みたものである
第三章は、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律の正確及び逐条解説を試み
第四章は、特許協力条約に基づく国際出願に係る特例についての逐条解説をしたものである
参考資料は、特許制度に関するアメリカ大統領委員会報告書、PCT加盟時の工業所有権審議会答申、現在では入手困難な特許協力条約成立の経緯の理解に役立つ資料等、将来展望をする上で大いに参考になる貴重な資料が提供されている。
筆者は、「これまでは、特許協力条約に規定する期間の変更と同条約に基づく規則の修正等により急場凌ぎ的措置に終始してきたきらいがある。特許協力条約自体にメスを入れなければならない時期に至っていると思う。」と述べ、本書を機に、現時点での問題の認識・解決を促している。
本書は、特許協力条約の全容を知ることが出来るものとしては唯一の書籍であり、今後の将来展望を検討
する上でも欠かせない資料となるであろう。
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