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コーポレート・ガバナンスと内部統制

〜信頼される経営のために〜


経済産業省企業行動課 編

発行 2007年 1月 19日 A5判 352ページ

本体 2,500円(+税)  送料 実費

ISBN978-4-8065-2765-7

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■はじめに

ここ数年、日本では、生活に身近な商品・製品の安全の問題、有価証券報告書の不正・虚偽記載、牛肉の食品産地の偽装や鉄道事故、保険金の不払いなど、企業の不祥事が相次いでいる。これらの事件を見てみると、不祥事が問題となる頻度が増えているばかりか、それぞれの事件が経済や社会に与えるマイナスの影響も格段に大きくなっており、個々の企業の問題として済まされない社会問題となっているように思われる。このような不祥事の多発や、被害・損失規模の拡大の背景には、規制改革により企業活動の自由度が増していること、経済のグローバル化により企業活動の範囲が格段に広くなっていること、さらには、競争の激化、情報・通信技術の発展といった企業を取り巻く環境の変化があるものと考えられる。また、雇用の流動化、組織再編の進展によって、これまで企業の気風や文化として暗黙に継承され、従業員間の信頼関係の上に成り立ってきた旧来型の経営管理が機能しにくくなっているというように、企業内環境の変化も原因となっていると考えられる。

このような中で、2005年から2006年にかけて、企業の内部統制の体制整備を義務付ける2つの新しい法律、会社法と金融商品取引法が整備された。内部統制の取り組み自体は、本来企業経営者が事業活動の適正性、効率性を確保する上で不可欠なものであり、これまでも経営者の判断により企業ごとに行われてきたものである。しかしながら、企業の内外を巡る環境の変化の中で、内部統制の重要性が高まり、特に、不祥事を防止するためには、従来のように、内部統制の整備を企業の自主性に委ねるだけでは不十分であるという社会的な要請が、内部統制の法制化につながったものと考えられる。 内部統制システムの構築に向けて様々な制度改正が行われ、現在、各企業における具体的な対応策が検討、実施されているが、その状況を窺うと、既にこれまでコンプライアンス、リスク管理等のシステムを独自に作り、運用してきた企業もある一方、法制化を契機に改めて内部統制の見直しにとりかかっている企業や、会社法と金融商品取引法の制定で初めて内部統制の整備に取り組むべきであることを認識したものの、どのようにして対応すればいいのか悩んでいる企業もあり、取り組み状況は様々である。

経済産業省では2005年8月に、企業の不祥事防止のための内部統制等の取り組みについて、企業経営者、市場関係者等をメンバーとする「企業行動の開示・評価に関する研究会」を開催し、企業が不祥事を未然に防止し、さらには企業価値を向上させていくためのコーポレート・ガバナンス及びリスク管理・内部統制のあり方について、「コーポレート・ガバナンス及びリスク管理・内部統制に関する開示・評価の枠組について―構築及び開示のための指針―」を取りまとめた。この指針は、会社法、金融商品取引法のそれぞれの法律の目的の範囲を超えて、企業の究極の目的である企業価値の向上の観点から、コーポレート・ガバナンスと内部統制をどのように構築、運用していくべきかを整理したものであり、企業が会社法等の法制化への対応を図る際にも、本指針を念頭に置くことにより、結果的に効果的、効率的な対応が図られるものと考えているところである。

本書は、かかる問題意識から、(1)内部統制の意味や法制化の経緯、(2)経済産業省の「コーポレート・ガバナンス及びリスク管理・内部統制に関する開示・評価の枠組について―構築及び開示のための指針―」の内容と背景にある考え方等について紹介し、(3)2006年5月に施行された会社法の内部統制への対応について、現在公表されている各社の取り組み状況を整理し、評価を行った上で、(4)会社法と金融商品取引法の内部統制の導入を踏まえて、今後企業に求められる取り組みに対する基本的な考え方を述べるとともに、(5)いくつかの企業の積極的な取り組みを具体的な事例として紹介することで、現在の内部統制システムの構築状況を整理し、今後各企業の自主的な取り組みが深化していくよう、企業で内部統制の構築に携わる方々の参考に資することを目的としている。 本書が現在、内部統制システムの構築に携わるすべての方々に幅広く利用され、その目的、内容の理解の一助となり、コーポレート・ガバナンスの強化と相まって、不祥事を防止し、我が国企業への信頼性の確保及び企業価値の向上に貢献することができるよう希望している。

経済産業省経済産業政策局企業行動課長
鈴木 英夫

主要目次
はじめに

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第I章 内部統制の基本的知識
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 1.1 内部統制とは何か
  (1)内部統制の意味
  (2)内部統制の枠組みについての考え方(COSOフレームワーク)
    1 COSO報告書(内部統制の統合的枠組み)
    2 COSO ERM(統合リスク管理)

 1.2 内部統制法制化を巡る内外の動向
  (1)海外の動向−米国における内部統制強化の動き
    1 サーベインズ・オクスリー法の概要
    2 サーベインズ・オクスリー法の現時点の評価
  (2)国内の動向
    1 内部統制に関する判例
    2 社会的責任投資(SRI)におけるコーポレート・ガバナンス

 1.3 内部統制をめぐる法制等の整備
  (1)会社法における内部統制システム
  (2)金融商品取引法における内部統制システム
  (3)証券取引所上場規程による開示の充実・強化

 ○コラム1 個人情報保護法の制定
 ○コラム2 公益通報者保護法の制定


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第II章 経済産業省「コーポレートガバナンス及びリスク管理・内部統制の構築・開示のための指針」
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 2.1 経済産業省「コーポレートガバナンス及びリスク管理・内部統制の構築・開示のための指針」について
  (1)基本的考え方
  (2)国内外の内部統制モデル
  (3)企業不祥事の事例分析
  (4)指針の概要
  (5)指針の活用
  (6)評価のあり方

 2.2「企業行動の開示・評価に関する研究会」取りまとめメンバーのコーポレート・ガバナンス、
    リスク管理・内部統制に対する考え方
  (1)企業経営者から見たコーポレート・ガバナンス、内部統制に対する考え方
  (2)リスク管理・内部統制の専門家から見た内部統制に対する考え方


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第III章 会社法等で要請される内部統制
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 3.1 会社法の内部統制システムの概要

 3.2 会社法の内部統制と金融商品取引法の財務報告に係る内部統制及び指針との関係
   1 会社法の内部統制と金融商品取引法の内部統制の関係
   2 会社法の内部統制と指針の関係

 3.3 内部統制システムの構築に係る取締役会決議からみる企業の整備状況

 3.4 東京証券取引所一部上場企業における内部統制取締役会決議の分析

 3.5 証券取引所「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」からみる企業のガバナンス強化の対応状況


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第IV章 コーポレート・ガバナンス及び内部統制・リスク管理の強化に向けて
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第V章 企業の積極的な取り組み事例
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  (1)トヨタ自動車の取り組み
  (2)東京ガスの取り組み
  (3)住友商事の取り組み


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参考資料
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 ○経済産業省「コーポレートガバナンス及びリスク管理・内部統制に関する開示・評価の
  枠組みについて−構築及び開示のための指針−」

 ○会社法の内部統制システムの構築に関する基本方針の取締役会決議(要約)一覧表

 ○東京証券取引所第一部上場企業「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(抜粋)一覧表

 ○コーポレート・ガバナンス、内部統制に関する制度整備の動向



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