お問い合わせ刊行物の購入方法通信販売のご案内刊行物のご案内TOPページ(財)経済産業調査会TOPページ
財団法人経済産業調査会 出版案内
分類通商産業政策史1980−2000
上段PR画像


(第3回配本)

書籍表紙画像


▼発売中
全12巻完結しました。簡単・便利・最速の通信販売をご利用下さい。


通商産業政策史1980−2000  
基礎産業政策
通商産業政策史編纂委員会 編
山崎  志郎 著


発行 2011年 8月 1日 A5判 上製 540ページ

本体 7,500円(+税)  送料 実費

ISBN978-4-8065-2871-5

>> 各巻共通チラシ/申込書(PDF)

書籍の購入方法ボタン   お問い合わせボタン   オンライン購入のボタン

   内容紹介 「第6巻編纂にあたって」より  イメージ
本巻は1980年代から2000年までの基礎産業局の所管政策を扱っている。基礎産業局所管の素材産業の多くは、70年代の2回の石油危機を経て、多くは構造不況産業となり、基礎産業局もさまざまな構造改善対策に追われることになった。このため、記述の多くは、必要に応じて第T期通商産業政策史も対象としていた70年代から始めた。執筆の最後は経済産業省への改組があった2000年度としたが、当該期は省庁の大幅な再編期であると同時に、国際的通商ルール、中央地方行政や企業ガバナンスのあり方に関する構造改革作業の本格実施の段階にも当たっていた。さまざまな自由化・規制緩和が進められ、産業政策・行政介入のあり方の見直しも進んでいた。90年代に実施された政策措置のなかには2000年を機に見直されたものも多く、場合によっては、その見直し経過なども記述している。

この間の基礎産業は総じて「苦難の時代」と言ってよいだろう。2度の石油危機を契機とする低成長への移行や円高の中で、政策支援を受けながら長期にわたる厳しい構造改善事業に取り組むことになった。その一方で、70年代半ばまでに高い生産性を実現し、輸出を急増させた鉄鋼業などをめぐっては、多くの譲歩によって国際的保護主義の台頭を回避し、健全な国際貿易ルールの維持に奔走した。この間、いわゆる中進国における基礎産業の急激な台頭によって、国際競争は激化し、資源・エネルギー・立地・税制など、さまざまな面で構造的高コスト条件をもった日本の基礎産業の競争力は脅かされることになった。この結果、アルミニウム製錬事業など高度成長を飾った花形産業のいくつかは劇的な縮小、国内事業の撤退という経過をたどることになった。

2000年代にはいるころからアジア諸国の経済成長が顕著となり、基礎素材産業でも高度成長期に似た量的拡大が見られ、基礎素材産業では操業率の上昇と好業績が続いた。四半世紀にわたる長期低迷の中で進めてきた合理化が成果を挙げることになった。しかし BRICsをはじめとする中進国の台頭もめざましく、素材産業の高付加価値化に向けた事業革新は、ますます必要になっている。

その意味で、基礎産業に起きた変化や新たな課題は、大量生産体制からの縮小・後退と企業再編という面だけではなかった。新たな化合技術、合成技術、バイオテクノロジーといった先端技術の開発によって、構造材、部品素材、建築素材、新医薬品をはじめとする新素材が次々に既存素材の市場を代替し、新市場を開拓し始めることになった。また環境破壊に歯止めをかけ、その復元をめぐってもさまざまな新素材やバイオテクノロジーが求められる状況が生まれたのも、1980年代以降であった。こうした新たな産業の勃興に向けて、基礎素材産業から多くの企業が新分野に参入し、基礎素材産業で培われた技術が利用されることになった。こうした変化の果実が本格的に実るのは、まだ相当の時間を要するかもしれないが、一連の構造改革と同時にいち早く新分野への取組を始めたことは、この時代の基礎産業政策として注目すべきである。

通商産業省時代の最後の20年間は、政策介入のあり方にも大きな転換が見られた。経済行政官庁としての真価が問われるという意味で、通商産業省にとっても「苦難の時代」であったと言える。原課から日々上がってくる産業情報から、産業育成に必要な政策支援策を積み上げ、原局での調整を経て予算要求につなげるという高度成長期以来の政策作りは、成長が確実な先進モデルが存在したキャッチアップ型の成長期には相当に有効に機能し、低成長に向けた構造改善事業を含めて産業のプロダクトサイクルを円滑に推進した。しかし、20世紀末には、成功モデルのない新産業の育成に向けた環境整備、自然環境の保全と回復、高度循環型社会への移行準備などの課題が山積する時代に突入した。こうした中で、1990年代に入るころから通産省では原課積上げ型の政策企画・予算要求という政策作りに加えて、国際経済における日本の役割を念頭に、通商摩擦の解消、環境保全、最先端基礎技術の開発、安全対策など、大局的な政策課題を原課に下ろしていくという政策作りの流れも強くなっていった。こうしたなかで、国内企業の育成という政策視点のみでなく、国際的企業連係を強化しつつ日本発のグローバル企業を創出するという政策視点も強まった。こうした変化は2000年以降一層明確になっているが、本書ではその端緒的動きを捉えたところまでで、筆を置くことにした。

なお、本書の執筆に当たっては、経済産業省職員、OB、業界団体の方々にヒアリングをさせていただき、貴重なお話を伺うとともに、資料の提供などのご協力をいただいた。お名前は省略させていただくが、そのことを記して謝意に代えさせていただきたい。

2011年6月
第6巻執筆責任者  山崎  志郎

(以下省略)

主要目次
通商産業政策史の発刊に寄せて/経済産業大臣 海江田 万里
序通商産業政策史編纂委員長/尾 煌之助
通商産業政策史編纂委員会
第6巻編纂にあたって/第6巻執筆責任者 山崎 志郎
凡例

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
序章 構造不況対策から国際競争力強化へ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 第1節 1980年代の基礎素材産業
   1.石油危機後の基礎素材産業
   2.基礎素材産業における知識集約化の現状と課題
 第2節 1980年代の基礎素材産業の政策課題
   1.産業構造審議会の80年代ビジョン
   2.1980年代初頭の基礎素材産業
   3.基礎素材産業の政策構想
 第3節 特定産業構造改善臨時措置法と基礎産業
   1.基礎素材産業対策特別委員会の検討作業
   2.特定産業構造改善臨時措置法の実施
 第4節 プラザ合意後の円高不況と構造転換円滑化政策
 第5節 1990年代の基礎素材産業と政策課題
 第6節 1990年代初頭の基礎産業政策
 第7節 特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法47
 第8節 21世紀を展望する基礎素材産業政策
   1.素材産業構造問題研究会の将来像
   2.最先端産業の育成を目指して(国家産業技術戦略)
 序章参考文献

━━━━━━━━
第1章 化学産業
━━━━━━━━
 第1節 概観
 第2節 石油化学工業
   1.特定産業構造改善臨時措置法(産構法)にいたる経緯
   2.産構法の枠組みと石油化学工業の構造改善
   3.ポスト産構法の体制整備
   4.1990年代の石油化学工業政策
 第3節 ソーダ工業
   1.1980年代のソーダ工業政策
   2.非水銀法への転換
   3.1990年代のソーダ工業政策
   4.塩専売制度の廃止
 第4節 化学肥料工業
   1.1980年代の化学肥料工業政策
   2.1990年代の化学肥料工業政策
 第5節 化学技術政策と機能性化学への展開
   1.1980年代までの化学技術政策
   2.1990年代の化学技術政策
   3.機能性化学品室の設置
 第6節 環境・保安問題
   1.廃棄物のリサイクル問題
   2.ダイオキシン問題と環境ホルモン問題
   3.保安問題
 第7節 水俣病問題への対応
   1.水俣病患者補償と金融支援制度
   2.関連子会社の設備投資と公害防止事業の支援
   3.中長期支援策の検討
   4.2000年2月の閣議了解における抜本策
 第1章参考文献

━━━━━━━
第2章 鉄鋼業
━━━━━━━
はじめに
 第1節 合理化の推進
   1.合理化推進の背景
   2.合理化の推進
 第2節 鉄鋼政策のビジョンと政策のスタンス
   1.懇談会及び研究会の政策ビジョン
   2.1980年代と90年代の政策スタンス
 第3節 省エネルギー設備導入と技術開発への政策支援
   1.省エネルギー設備投資の支援政策
   2.技術開発への政策支援
 第4節 需給見通しと各社の生産調整
   1.市況
   2.需給政策と官民の意見交換
   3.新需要開拓への政策支援
 第5節 構造改善政策
   1.電炉業
   2.フェロシリコンにおける構造調整政策
   3.鉄鋼二次メーカーに対する構造改善政策
 第6節 対外政策
   1.対米輸出自主規制(VRA)
   2.対米VRA以降のMSA交渉とOECD交渉
   3.普通鋼対米VRA失効後の貿易摩擦
   4.特殊鋼の貿易摩擦と交渉
   5.輸入問題と政策対応
 第7節 環境問題への取組
   1.鉄鋼業についての環境規制
   2.環境関連技術開発の政策支援
   3.スラグの資源化
   4.スチール缶のリサイクル
 おわりに
 第2章参考文献

━━━━━━━━━━━━━━━
第3章 非鉄金属産業の構造改善
━━━━━━━━━━━━━━━
 第1節 アルミニウム製錬事業の構造改善
   1.第一次石油危機の深刻化と110万トン体制
   2.第二次石油危機と70万トン体制
   3.輸入安定化備蓄制度による軽金属備蓄
   4.特定産業構造安定臨時措置法に基づく産業構造安定計画
   5.産業構造審議会非鉄金属部会の設置
   6.第二次石油危機の深刻化と35万トン体制
   7.適正価格の形成
   8.海外アルミニウム開発事業の展開
 第2節 非鉄金属加工部門の構造改善
   1.伸銅工業の構造改善
   2.アルミニウム圧延部門の構造改善
   3.電線・ケーブル部門の構造改革
   4.21世紀に向けた非鉄金属加工部門の構造改革課題
 第3節 ミネルバ計画21世紀の技術フロンティア形成の支援
   1.21世紀の超先端的産業技術を支える非鉄金属
   2.ミネルバ21による技術開発目標
   3.新ミネルバ
 第3章参考文献

━━━━━━━━━━━━━━━━━
第4章 バイオインダストリーの育成
━━━━━━━━━━━━━━━━━
 第1節 1980年代のバイオテクノロジー開発動向
   1.バイオテクノロジーの可能性
   2.先進諸国の研究開発動向
   3.組換えDNA技術の安全指針策定に関する各国の取組
 第2節 日本の研究開発動向
   1.1980年代のバイオインダストリー
   2.バイオインダストリー振興委員会の設置
   3.バイオインダストリー協会の発足
   4.研究開発支援政策の課題
   5.研究開発支援政策の具体化
   6.地域バイオインダストリーの育成政策
   7.バイオ関連研究の進展
 第3節 1990年代の課題
   1.地球環境の保全を担うバイオテクノロジーの課題
   2.バイオテクノロジー基盤技術・環境対策の支援
   3.1990年代後半のバイオインダストリーとその課題
 第4節 バイオテクノロジー産業創造に向けた基本方針
   1.基本方針の策定
   2.関係5省の具体的取組−バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本戦略
   3.組換えDNA技術工業化指針の見直し
   4.社団法人バイオ産業情報化コンソーシアムの発足
   5.ミレニアム・プロジェクト
 第4章参考文献

━━━━━━━━━━
第5章 新素材の開発
━━━━━━━━━━
 第1節 新素材の可能性
   1.拡大する新素材の市場
   2.セラミックス開発支援体制の始動
 第2節 基礎素材産業における対応と政策課題
 第3節 1980年代の基礎新素材開発の進捗
 第4節 1990年代の先端産業と新素材
 第5節 1990年代の新素材開発支援
   1.2000年に向けた基礎新素材の将来性
   2.研究開発体制の課題と展開
第5章参考文献

━━━━━━━━━━━━━━
第6章 アルコール事業の改革
━━━━━━━━━━━━━━
 第1節 アルコールの専売事業
 第2節 1970年代の取組
   1.アルコール原料の多様化
   2.公害対策
 第3節 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)への移管
   1.アルコール専売法の改正
   2.研究開発の促進
   3.事業管理体制の情報化
   4.事業移管後のアルコール事業
 第4節 アルコール事業の民営化
 第6章参考文献

━━━━━━━━━━━━━
第7章 化学物質の安全管理
━━━━━━━━━━━━━
 第1節 化学品安全確保対策
   1.化学物質の審査及び製造規制の開始
   2.「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」の改正
   3.検査・審査実績
 第2節 安全審査体制の国際化
   1.先進諸国による化学物質安全管理の取組
   2.化学物質安全管理の世界的取組
 第3節 化学物質排出把握管理促進法
   1.産業界による自主的管理活動
   2.化学物質排出把握管理促進法の制定

第7章参考文献
おわりに
索引



 bookinfo@chosakai.or.jp

 http://www.chosakai.or.jp/book/

無断転載を禁じます 財団法人経済産業調査会
Copyright 1998-2001 Reserch Institute of Economy, Trade and Industry.
お問い合わせ刊行物の購入方法通信販売のご案内刊行物のご案内TOPページ(財)経済産業調査会TOPページ