■発刊によせて■

　我が国経済は、少子高齢化と人口減少社会の到来、グローバル化と国際競争の激化、エネルギー・環境制約高まり等、その環境は大きな変化の中にあり、中長期的には四国経済の根幹を揺るがす可能性さえあります。今、四国経済は全体に緩やかな回復基調にありますが、地域や業種によっては依然回復のテンポにばらつきがみられ、企業経営にはこれまで以上に幅広い視野と鋭い感覚に基づいた経営戦略、そして時に大胆で、時に繊細な舵取りがもとめられるものと考えます。

　四国経済産業局においては、地域の持続的な発展と誰もが誇りと愛着をもてる四国を形作るため、経済界、地方自治体の方々との連携・協力体制を更に強固なものとし、四国地域の活性化に向けた各種施策を展開していきます。

　第一に、産学官連携体制の抜本的強化を図ります。産学官ネットワークと各種支援ツールをそれぞれの地域資源と連携させて総合的に支援することで、また、中小企業を中心とした異分野企業等の連携体制の推進・強化を図り積極的に展開することで、新産業・新事業が続々と生み出される産業クラスターの形成を目指します。

　第二に、大学・高専との連携の下で、四国の現在、そして未来の産業の発展を支える人材の育成に努めます。大学・高専の人材教育のノウハウを最大限に活用し、企業の中核人材育成に向けた事業を行う等、先行的な取り組みは始まっていますが、より産業界のニーズを踏まえた本格的な展開を図ります。

　第三に、循環型経済社会の形成を進めます。資源の有効利用は、最大限に配慮すべき重要課題との認識が浸透しつつあります。この配慮が長期的に安定した経済活動の基盤となります。エネルギーの安定供給と、省エネルギー対策の徹底、新エネルギーの開発支援を行い、環境と調和した安全で安心な社会の実現に努めます。

　第四に、地域資源を活用した地域活性化の取組を支援します。昨年は四国アイランドリーグが開幕する等プロ・スポーツの活動が活発化し、関連した地域の取組も始まりました。こうした動きも有力な地域資源と捉え、これらを活用したビジネスの可能性を検討し、地域の活性化を目指します。

　発想や視点の転換で強みに変える、柔軟で強靱な思考と行動こそが求められています。四国地域には秘められたポテンシャルがまだまだあります。四国経済産業局は、その一つ一つを確実に引き出し、大切に育て、大きな実を結ばせたいと強く願っています。

　このような中で、当局の編集により平成18年版「四国経済概観」が発刊されることになりました。各種資料をもとに、四国経済に関する情報や統計データ等をきめ細かく収集し、四国経済の実態把握に努めております。四国経済に対する認識を深め、四国地域を取り巻く諸課題の解決に取り組もうとする際の一助になれば幸いです。

平成18年１月

四国経済産業局長
塚本　芳昭