我が国経済は、停滞期を脱し、回復基調を継続していますが、依然として、中長期的な人口減少、国際競争の激化、社会システム全体の変化、環境・エネルギー問題等地球規模での多くの深刻な課題に直面しています。こうした課題を克服し、持続的な経済の発展を実現するためには、イノベーションによる大きな変革が不可欠です。

２００６年７月に策定された「経済成長戦略大綱」では、「イノベーション・スーパーハイウェイ構想」の構築を掲げました。また、総合科学技術会議では「イノベーション創出総合戦略」がまとめられたほか、イノベーション２５戦略会議では、２０５０年までを視野に入れた長期的な戦略指針として「イノベーション２５」が取りまとめられました。

産業構造審議会産業技術分科会では、これらの戦略目標を達成するため、特に、「イノベーション・スーパーハイウェイ構想」に基づき、具体的な実現方策について２００６年１１月より検討を重ね、２００７年７月に産業構造審議会産業技術文化会報告として取りまとめました。

本書は、この報告書で示されたイノベーション創出の鍵と新たなイノベーションの方向とするエコイノベーションの推進などについて、取り組み事例を豊富に掲載し、わかりやすく紹介しています。

２１世紀におけるイノベーションは、技術の革新にとどまらず、これまでとはまったく違った考え方、仕組みを取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こす幅広い概念として捉えられてきています。

本書が、イノベーション創出の一助となれば幸いです。