我が国の航空機産業は今年、飛躍の年を迎えた。初の日の丸ジェット機である三菱重工業の「MRJ機」が製造・販売に向け飛び立ったのをはじめ、川崎重工業が自衛隊機のP−X、C−Xの民間転用機の開発に着手、富士重工業は小型ビジネス機の営業を本格化、新明和工業も水陸両用の飛行艇の民間転用に乗り出すなどの動きを強めている。IHIは航空機用ジェットエンジンの生産を新鋭工場で加速している。さらに、経済産業省は我が国の次世代を担う産業として次世代航空機を挙げて、開発を全面的に支援しており、官民一体となった取り組みが進められている。
この本は、航空機産業の振興に力を入れる経済産業省、主要航空機メーカーである三菱重工業、IHI、川崎重工業、富士重工業、新明和工業のそれぞれの航空機担当者がこれからの航空機戦略を詳細に語っており、まさに我が国航空機産業、航空機産業政策全体を紹介する公式ガイドブックと言えるものである。
序章、第1章では経済産業省の航空機産業にかける期待、世界の航空機産業の動向及び我が国航空機産業の将来像を紹介。第2章から第6章までは主要航空機メーカー5社のそれぞれの航空機戦略を具体的に分かりやすく紹介している。またトピックスとして我が国航空機産業の最大の集積地である中部経済地区の動向も紹介している。
本書は我が国航空機産業、主要メーカーの現在と将来を知るうえでの格好の書であり、航空機関連業界の方々はもとより、航空機産業への参入を目指す経営者、ビジネスパーソン、さらに航空機産業への就職を目指している学生にとって、大いに参考になる書といえる。