産業構造審議会では、「今後日本は、何で稼ぎ、何で雇用していくのか」について検討をすすめ、今般「産業構造ビジョン2010」を取りまとめました。
今回の「産業構造ビジョン2010」では、世界の中での日本の産業の現実を直視し、世界の主要プレーヤーや、成長市場、競争を支配する鍵の大きな変化を示した上で、これに対する「日本の産業の現状と課題」を徹底的に分析しています。
これらを踏まえて、今後日本の産業が付加価値を獲得していくための方向性、大きな成長の可能性のある戦略分野、そしてグローバル化する中で我が国が付加価値と雇用を獲得していくための横断的政策を提示しています。
日本経済・産業の行き詰まりは一過性のものではなく、1.「産業構造全体」の問題、2.企業の「ビジネスモデル」の問題、3.一企業ではどうしようもない、国の「ビジネスインフラ」の問題の3つの構造的な要因が存在していると分析しました。
現在の我が国経済・産業の深刻な行き詰まりを直視すると、政府・民間を通じた「四つの転換」が必要です。
第一に、産業構造の転換です。今後は戦略五分野として、1.インフラ関連/システム輸出、2.環境・エネルギー課題解決型産業、3.文化産業、4.医療・介護・健康・子育てサービス、5.先端分野の強化による成長の牽引を提言しています。
第二に、企業のビジネスモデル転換の支援です。「技術で勝って、事業でも勝つ」ビジネスモデルに転換しなければなりません。
第三に、「グローバル化」と「国内雇用維持」の二者択一の発想からの脱却が必要です。
第四に、政府の役割の転換が必要です。「市場機能を最大限に活かした、新たな官民連携」を構築しなければなりません。
今後、日本経済の行き詰まりを打開し、再び日本経済を成長軌道に載せていくためには、国と企業の壁、省庁の壁、国と地方の壁を越えて、グローバル大競争時代に打ち勝つ戦略の構築と実施が不可欠です。
「産業構造ビジョン2010」は、こうした戦略となることを目指して策定されたものです。是非ご一読ください。