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分類通商産業政策史1980−2000
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通商産業政策史1980−2000  
生活産業政策
通商産業政策史編纂委員会 編
松島  茂  著


発行 2012年 6月 15日 A5判 上製 420ページ

本体 7,500円(+税)  送料 実費

ISBN978-4-8065-2873-9

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   内容紹介 「第8巻執筆にあたって」より  イメージ
本巻は、1973(昭和48)年から2000(平成12)年までの時期を中心に生活産業局が所管した産業に対する政策を扱っている。

生活産業局は、基礎産業局及び機械情報産業局とともに1973(昭和48)年7月の通商産業省の機構改革によって誕生した三つの物資所管原局の一つである。通商産業省の行政機構の骨格は、講和条約発効後の1952(昭和27)年8月の機構改革によって定められて以降1973(昭和48)年7月まで、1965(昭和40)年4月の貿易振興局の設置、1970(昭和45)年の鉱山保安局の公害保安局への改組を除いては、ほぼそのまま維持されてきた。この間、日本経済は高度成長を経験し、1960年代後半には開放経済体制へ、さらに1970年代に入ると変動相場制へ移行するなど産業を取り巻く環境は大きく変化した。このような中で1971(昭和46)年5月に出された「70年代の通商産業政策」(産業構造審議会中間答申)は、知識集約化型産業構造の実現を目指す産業政策への転換を高らかに謳いあげた。1973(昭和48)年7月の機構改革はこれを踏まえて行われたものであるが、本省内部部局の全面的編成替えを含む大規模なものであった。

具体的には、業種横断的な政策の企画立案を行う横割り局は、必要とされる政策の切り口に応じて産業政策局、通商政策局、貿易局、立地公害局に再編成された。個別物資に関する政策を行う縦割り局は、それぞれの産業が直面している産業の共通性、行政目的の同一性等を考慮して基礎産業局、機械情報産業局、生活産業局に再編成された。この他にエネルギー政策を総合的に推進するために、それまでは複数の部局にまたがっていたエネルギー関係部局を統合して資源エネルギー庁が設置された。

生活産業局は、国民生活に直結し、豊かで充実した消費生活の実現に直接的な関係を有する点で共通性をもつ産業を所管する課等で構成された。すなわち、総務課(前繊維雑貨局雑貨政策課)、通商課(前繊維雑貨局繊維雑貨輸出課)、原料紡績課(前繊維雑貨局原料紡績課)、繊維製品課(前繊維雑貨局繊維製品課)、紙業課(前繊維雑貨局紙業課)、日用品課(前繊維雑貨局雑貨第一課)、文化用品課(前繊維雑貨局雑貨第二課)、窯業建材課(前化学工業局窯業建材課)、住宅産業課(前化学工業局化政課住宅産業室)及び繊維検査管理官(前繊維雑貨局繊維検査管理官)である。

その後1997(平成9)年7月の機構改革において原料紡績課と繊維製品課は統合されて繊維課に、日用品課と文化用品課(文化・スポーツ・学習関係の業務を除く)は統合されて生活用品課に、窯業建材課と住宅産業課は統合されて住宅産業窯業建材課になった。また、国民生活に密接に関連するサービス産業を所管していた産業政策局サービス産業課が生活産業局に移管されてサービス産業課と文化関連産業課に再編された。

これによってサービス産業を含む生活産業を幅広く所管する体制が整備されたが、2001(平成13)年1月の機構改革において、基礎産業局、機械情報産業局及び生活産業局は製造産業局及び商務情報政策局に再編されて、生活産業局は28年余りの歴史を閉じることになった。

本巻の執筆にあたっては、できるかぎり物資所管原局としての生活産業局の行政の実相を明らかにしようと試みた。新しい政策もそれまでの政策の積み重ねの上に行われるものであるので、必要に応じて1973(昭和48)年より前に遡って記述しているところもある。

各課の行政に分け入ってみると、それぞれの産業の多様性を反映して、行政の態様、内容も様々であるが、生活産業政策の特徴をいくつか指摘することができる。

第一は、行政手法としての産業ビジョンの活用である。1971(昭和46)年5月の「70年代の通商産業政策」(産業構造審議会中間答申)は、知識集約化型産業構造への転換を高らかに謳いあげた。これを受けて繊維産業、紙パルプ産業、生活用品産業、住宅産業、ファインセラミックス産業などについて産業ビジョンが作成された。多くの場合は、産業界、金融界、学識経験者、ジャーナリスト、消費者代表、労働界等からなる審議会又は研究会を組織する。その場での議論を通じて、産業の現状把握、進むべき方向性、政策の在り方についてコンセンサスを作り上げる。原課はその事務局の役割を担うが、そのコンセンサスに従って原課行政を進めている。生活産業政策の中で産業ビジョンが活用される理由は、この時期に多くの産業が変曲点に差し掛かったということであろう。また、住宅産業、ファインセラミックス産業等の新しい産業分野については、産業ビジョンの作成作業をきっかけとして業界の組織化を進め、政策の方向性を探った。

第二は、繊維産業政策から「構造改善」という政策のコンセプトが生まれたということである。「構造改善」という用語が初めて法律で使われたのは、 1967(昭和42)年に制定された特定繊維工業構造改善臨時措置法であった。

これには、単に過剰設備の処理を行うことによって需給のバランスを回復するだけの政策にとどまらず、設備の近代化、企業規模の適正化等総合的な政策を組み合わせることによって国際競争に耐えられる強靭な産業にしていこうという政策のイノベーションが意図されていた。

その後、「構造改善」のコンセプトは1969(昭和44)年の中小企業近代化促進法改正において中小企業政策の中核となる構造改善事業して制度化され、 1999(平成11)年にその根拠法となっていた繊維産業構造改善臨時措置法及び中小企業近代化促進法が相次いで廃止されるまでの30年間にわたって全省的に中小企業の比率の高い幅広い産業において重要な政策ツールとなった。

もちろん、「構造改善」の内容については、産業の実態、環境の変化とともに柔軟に変化している。当初は、過剰設備の処理、企業規模の適正化といったハード面に力点が置かれていたが、やがて新製品・新技術の開発、異業種間の垂直連携などソフト面に力点が置かれるようになった。 このような政策のイノベーションが生活産業局を起点として起こったことは、興味深い。常に産業、企業と接している縦割り局だからこそ、「構造改善」のコンセプトを生み出し、しかもそれを柔軟に変化させることができたのであろう。

第三は、生活文化に関わる政策の展開である。その代表例が、1985(昭和60)年に生活産業局が主導した「生活文化フォーラム」の設立である。この活動を受けて、日用品課がニューオフィス化の推進運動を展開した。また、窯業建材課が美しい景観を有する街づくりのための方策を検討する委員会を立ち上げた。このように従来は行政にはなじみにくいとされていた文化の側面を取り込んだ政策の新潮流が生まれた。このような縦割り局の政策の現場での動きが、1990(平成2)年7月の「90年代の通商産業政策ビジョン」のゆとりと豊かさの実現という政策目標にもつながっている。

以上の例からわかるように、本巻が対象とした1973(昭和48)年から2000(平成12)年までの間は、横割り局と縦割り局の組合せによる組織編成が比較的にうまく機能して、この時期の産業政策のダイナミズムが生まれたということができるであろう。

本書の執筆にあたっては、経済産業省職員、OB等多くの方々にヒヤリングをさせていただくとともに、貴重な資料をご提供いただいた。また、神戸大学大学院経済学研究科橋野知子准教授には、繊維産業政策についてご協力をいただいた。記して感謝する次第である。

2012年5月
第8巻執筆責任者 松島 茂


主要目次
通商産業政策史の発刊に寄せて/経済産業大臣 海江田 万里
序通商産業政策史編纂委員長/尾 煌之助
通商産業政策史編纂委員会
第8巻執筆にあたって/第8巻執筆責任者 松島 茂

凡例

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第1章 繊維産業政策
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 第1節 序説
   1.行政体制の推移
   2.繊維産業の概況
   3.本章の構成
 第2節 終戦直後から1970年代に至るまでの繊維産業政策
   1.終戦直後の繊維政策
   2.設備調整対策
   3.構造改善対策のはじまり
 第3節 第一次繊維工業構造改善臨時措置法の時代―知識集約化を目指して―
   1.「70年代の繊維産業政策のあり方について」(1973年10月産業構造審議会・繊維工業審議会答申)
   2.特定繊維産業構造改善臨時措置法の1974年改正―「繊維工業構造改善臨時措置法」への名称変更
   3.繊維問題懇話会の提言(1976年11月)
   4.「新しい繊維産業のあり方について」(1976年12月繊維工業審議会意見具申)
   5.構造不況対策―特定不況産業安定臨時措置法による設備処理を中心に
   6.繊維製品の国際貿易の枠組み―MFA
 第4節 第二次繊維工業構造改善臨時措置法の時代―アパレル産業の振興と人材育成―
   1.「今後の繊維産業の構造改善のあり方について」(1978年11月繊維工業審議会・産業構造審議会答申)
   2.繊維工業構造改善臨時措置法の1979年改正
   3.アパレル産業振興対策
 第5節 第三次繊維工業構造改善臨時措置法の時代―先進国型産業をめざして―
   1.「先進国型産業をめざして」(1983年10月繊維工業審議会・産業構造審議会答申)
   2.繊維工業構造改善臨時措置法の1984年改正
   3.知識集約化を目指した構造改善事業の実績
   4.繊維検査の変容―輸出検査から消費者行政へ
 第6節 第四次繊維工業構造改善臨時措置法の時代―生活文化提案型産業への新展開―
   1.「生活文化提案型産業への新たな展開」(1988年11月繊維工業審議会・産業構造審議会答申)
   2.繊維工業構造改善臨時措置法の1989年改正
   3.繊維リソースセンターの展開
   4.第四次繊維工業構造改善臨時措置法に基づく実需対応型補完連携による構造改善事業の実績
   5.設備登録制の廃止
 第7節 繊維産業構造改善臨時措置法の時代―市場創造とフロンティア拡大に向けて―
   1.「新繊維ビジョン―市場創造とフロンティア拡大に向けて」(1993年12月繊維工業審議会・産業構造審議会答申)
   2.繊維工業構造改善臨時措置法の1994年改正―「繊維産業構造改善臨時措置法」への名称変更
   3.マーケット・イン型構造改善事業の実績
   4.繊維製品の国際貿易枠組みの変化と日本の対応―MFAからWTO繊維協定への移行
 第8節 21世紀にむけての繊維産業ビジョン
   1.「繊維ビジョン」(1998年12月繊維産業審議会・産業構造審議会答申)
   2.繊維産業構造改善臨時措置法の廃止
 【第1章参考文献】

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第2章 紙業印刷業政策
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 第1節 序説
   1.行政体制と所掌事務の範囲
   2.紙関連産業の概況
 第2節 紙パルプ産業ビジョン
   1.「70年代における紙・パルプ産業のあり方」(1972年10月産業構造審議会紙・パルプ部会答申)
   2.「80年代の紙パルプ産業ビジョン」(1981年3月産業構造審議会紙パルプ部会答申)
   3.「緑化と国際化の中の紙パルプ産業」(1994年6月「紙・パルプ産業基本問題検討委員会」中間報告)   4.産業ビジョンの策定過程と原課行政としての意義
 第3節 設備調整・生産調整
   1.高度成長期の設備調整・生産調整
   2.第一次石油危機後の設備調整・生産調整―特定不況産業安定臨時措置法
   3.第二次石油危機後の設備調整・生産調整―特安法・不況カルテルから特定産業構造改善臨時措置法へ 第4節 古紙対策
   1.古紙対策の二つの側面
   2.古紙再生促進センターの設立
   3.古紙卸売業への中小企業近代化促進法の適用
   4.「古紙の回収・利用の促進について」(1990年3月省エネルギー・省資源対策推進会議申合せ)
   5.古紙利用率の目標設定と改定のプロセス
 第5節 市場アクセス改善要求とそれへの対応
   1.日米MOSS協議
   2.日米紙協議
 第6節 印刷産業の構造改善と印刷産業のビジョン
   1.印刷産業の概況
   2.業界組織化と業種ごとの構造改善
   3.「紙業印刷業課」への改称と21世紀の印刷産業ビジョン
 【第2章参考文献】

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第3章 生活用品産業政策
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 第1節 政策対象としての生活用品産業
   1.生活用品産業の範囲と行政体制
   2.生活用品産業の全製造業に占める位置
   3.生活用品産業の特徴
 第2節 生活用品産業のビジョン
   1.雑貨産業から生活用品産業へ
   2.「開放経済体制下における我が国の雑貨工業の将来」(1968年産業構造審議会雑貨建材部会答申)
   3.「昭和50年代の生活用品産業のビジョンと対応の方向」(1976年産業構造審議会生活用品部会中間答申)
 第3節 個別業種に対する政策
   1.個別業種別政策の道具立て
   2.金属洋食器製造業
   3.陶磁器製造業
   4.木製家具製造業
   5.個別業種政策についての小括
 第4節 政策の新潮流
   1.生活文化フォーラム
   2.ニューオフィスの推進
 第5節 伝統的工芸品産業
   1.生活文化の視点からのもう一つの産業政策
   2.伝産法の概要
   3.伝統的工芸品月間の創設
   4.伝産法の第一次改正
   5.伝産法の第二次改正
 【第3章参考文献】

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第4章 窯業建材・ファインセラミックス産業政策
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 第1節 窯業建材・ファインセラミックス産業の多様性
 第2節 セメント産業
   1.セメント産業概説
   2.「狂乱物価」と需給・価格対策
   3.独占禁止法に基づく不況カルテル
   4.産構法に基づく構造改善
   5.円滑化法に基づく構造改善
   6.経営資源の効率化を目指して―共同事業会社の発展的解消
 第3節 生コンクリート産業・骨材産業
   1.生コンクリート産業の特質
   2.生コンクリート製造業の近代化・構造改善
   3.骨材産業
 第4節 ガラス産業
   1.ガラス産業の概観
   2.値上げ事前了承制の適用
   3.ニューガラスへの動き
   4.日米板ガラス協議
 第5節 建材産業
   1.建材産業の多様性と業界の組織化
   2.優良断熱建材認定制度
   3.景観材料対策
 第6節 ファインセラミックス産業
   1.ファインセラミックス政策の幕開け
   2.ファインセラミックス政策実施体制の確立過程
   3.ファインセラミックス政策の展開
 【第4章参考文献】

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第5章 住宅産業政策
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 第1節 1973年機構改革以前の住宅産業政策
   1.化学工業局化政課住宅産業室の設置
   2.産業構造審議会住宅産業部会の設置と答申
   3.工業生産住宅の品質向上対策
   4.産業構造審議会住宅・都市産業部会への改組と答申
 第2節 住宅産業ビジョンと住宅技術開発プロジェクト
   1.生活産業局住宅産業課の設置
   2.新住宅供給システム開発プロジェクト(ハウス55計画)―1976年度〜1979年度
   3.「住宅産業の長期ビジョン」(1982年住宅・都市産業部会中間答申)
   4.新住宅開発プロジェクト―1979年度〜1985年度
   5.集合住宅用新材料・機器システム開発プロジェクト―1984年度〜1990年度
   6.「21世紀に向けての住宅産業ビジョン」(1988年住宅・都市産業部会中間答申)
   7.新工業化住宅産業技術・システム開発プロジェクト―1989年度〜1995年度
   8.「住宅産業改革の10年に向けて」(1994年「住宅及び住宅産業の在り方に関する懇談会報告書」)
   9.生活価値創造住宅開発プロジェクト―1994年度〜2000年度
   10.小括
 第3節 ソーラーシステムの普及とインテリア産業・DIY産業の振興
   1.ソーラーシステムの普及対策
   2.インテリア産業振興対策
   3.DIY産業振興対策
 【第5章参考文献】

 索引



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