中小企業は国内外の生産活動、経済活動の中心的な役割であるだけでなく、地域社会、更には個人生活に至るまで、あらゆる面でのメインプレイヤーであります。
我が国中小企業は、東日本大震災や円高による影響に加えて、人口減少や新興国との競争激化など構造的な課題に直面しています。こうした厳しい経済環境の中では、弱者保護的な視点ではなく、中小企業の競争力、すなわち中小企業自らが勝ち残るための企業力を強化する方策が重要であります。このため、中小企業政策審議会企業力強化部会を設置し、2011年6月から12月まで6回にわたって審議を行ってまいりました。
具体的な審議の過程では、中小企業の戦略的経営力を構成する様々な側面、すなわち、金融、技術、人材、海外展開能力など幅広い論点ごとに議論を積み重ねてきました。特に、少子高齢化による内需停滞やグローバル経済への対応という極めて困難な課題の下、中小企業が持続的に活躍できる事業環境をいかにして整えていくかについて、実際の中小企業の取組の紹介も交えながら、率直で活発な議論を行いました。
こうした検討を経て、2011年12月に企業力強化部会として中間取りまとめを行いました。2011年6月の本部会開催以来、中小企業をめぐる環境は一層厳しさを増しております。今後、スピード感を持って政策展開していく必要があります。
この報告書の具体的な提言内容については、平成24年度中小企業関連予算や今国会に提出している関連法案を通じて、早急に実施していく予定であると承知しております。本報告書の提言や
各種分析内容が、中小企業の方々の経営力強化の取組の一助とな
ることを心より期待いたします。
中小企業政策審議会 企業力強化部会 部会長
慶應義塾大学商学部長・大学院商学科委員長・商学部教授
樋口 美雄