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営業秘密保護のための競業避止義務の締結の方法
経済産業省経済産業政策局知的財産政策室  編

発行 2013年 5月 8日  A5判 690ページ

本体 7,000円(+税)  送料 実費

ISBN978-4-8065-2918-7

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   「はじめに」 よりイメージ
知識集約型経済の発展に伴い、我が国の企業がその競争力を維持し強化していくためには、技術やノウハウなどの活用や管理を重視した経営を行っていくことが重要です。特に、企業活動のグローバル化が進展し、またアジア各国の企業の追い上げが進む中で、貴重な技術情報などが元従業員等を通じて海外の企業に漏洩するリスクが増大しております。

現実にも、工作機械メーカーに在職していた中国人の従業員が、同社のサーバーにアクセスし、秘密情報を不正に複製して持ち出していた疑いで立件された事件が起きるなど、技術流出に関する具体的な事例も発生しております。

本書では、このような退職者等による人材を通じた営業秘密の流出を防ぐ対策の一つである競業避止義務契約の有効性についてや営業秘密を不正開示した違反者に対する処分として考えられる退職金減額の可能性等について、過去の裁判例の分析や有識者による議論等を踏まえ、その分析結果を掲載しています。

また、参考資料として経済産業省が平成24年度に実施した企業アンケート調査の結果を載せており、企業の競業避止義務契約の締結状況、企業の営業秘密の流出実態、流出による損害規模等について最新のデータを掲載しております。

今後、本書が企業等の営業秘密の適切な管理に関する理解の一助となり、実務に携わる方々にとって有用なものとなることを期待しております。

末筆ながら、人材を通じた技術流出に関する調査研究委員会において貴重なご意見を賜りました有識者の皆様、「営業秘密の管理実態に関するアンケート調査」や企業ヒアリングにご協力いただいた企業の皆様に改めて御礼申し上げます。

平成25年4月
経済産業省経済産業政策局
知的財産政策室長
石塚 康志

   「序.」 より イメージ
グローバル化や情報化、人材の流動化等が進展する中で、我が国企業の競争力の源泉となる技術情報、中でも秘密情報の適切な管理がより一層重要となっている。技術情報の適切な管理を促し、その保護を図ることは、継続的にイノベーションを生み出し、我が国における生産性向上に向けた取組が継続的かつ発展的になされる基盤を確保する鍵となるものである。

その一方で、雇用形態の多様化や人材の流動化等の影響から、営業秘密を争点とした判例は増加傾向にあり、その主な漏えい経路として退職者等が絡んだ営業秘密侵害が深刻となっている。

しかし「営業秘密」に該当する情報と言えるためには、不正競争防止法が定める、<1>秘密として管理されていること(秘密管理性)、<2>有用な情報であること(有用性)、<3>公然と知られていないこと(非公知性)という3つの要件を満たしている必要があり、企業が守りたいと考えている情報が常に「営業秘密」に該当する訳ではない。

このような退職者等の人を通じた企業秘密の流出を防止するための策としては、不正競争防止法に基づく請求の他、競業企業への転職そのものを禁止する競業避止義務契約を締結することも考えられるが、必ずしも競業避止義務契約の活用実態や、その有効性については明らかにされているとは言えない。

そこで、本調査研究では、競業避止義務が有効であると判断される基準や企業の営業秘密を不正に開示した違反者に対する処分として考えられる退職金の減額等の可能性等について、判例等の調査や分析を行うとともに、有識者等を集めた委員会等において議論を行うことにより、技術流出に対して企業が取り得る対応策のあり方を検討するための基礎資料を作成した。

なお、別途「営業秘密の管理実態に関するアンケート」結果についても取りまとめており、適宜参照されたい。


主要目次
はじめに
序

本編

I.  人材を通じた技術流出に関する調査研究委員会
II. 本委員会における着眼点
III.競業避止義務契約に係る実態
 1.契約の締結状況
 2.競業避止義務契約に対する問題意識
 3.競業避止義務契約によらない私法上の救済

IV.競業避止義務契約が有効であると判断される基準
 1.競業避止義務契約の有効性判断
 2.競業避止義務契約の判断ポイント
  (1)企業側の守るべき利益
  (2)従業員の地位
  (3)地域的限定
  (4)競業避止義務期間
  (5)禁止行為の範囲
  (6)代償措置
 3.競業避止義務契約の有効性に係るまとめ

V.競業避止義務契約を締結することによって期待される効果
  (1)競業行為の差止
  (2)損害賠償の請求
  (3)退職金・企業年金の支給制限による抑止効果

VI.退職金や企業年金の支給制限の可能性
 1.退職金と企業年金についての基本的な考え方
 2.退職金・企業年金の支給制限が制度上可能であるか否かの整理
  一時払いの場合
  年金払いの場合
 3.退職金等の減額や不支給が認められる要件
  (1)退職金等の減額規定等の効力の発生要件
  (2)退職金等の不支給に関する事案
  (3)競業避止義務違反に基づく退職金等の減額に関する事案
 4.競業避止義務違反における退職金等の減額又は不支給のまとめ

資料編I.企業ヒアリング調査結果
 1.調査概要
  (1)調査目的
  (2)調査対象
  (3)抽出方法
 2.営業秘密の管理実態
  (1)営業秘密管理体制
  (2)情報管理の手法について
  (3)従業員教育・人事管理
  (4)海外における営業秘密管理
  (5)外部(顧客・外注先など)との情報のやり取りについて
  (6)その他、営業秘密管理の取組で重要なことについて
 3.秘密保持誓約書(一部、競業避止義務条項を含む)の締結実態
  (1)秘密保持誓約書(一部、競業避止義務条項を含む)の締結のタイミングと対象者について
  (2)秘密保持誓約書(一部、競業避止義務条項を含む)の内容について
  (3)競業避止義務契約締結の課題
  (4)競業避止義務条項違反者への措置(退職金の減額規定等)について
  (5)退職者の状況把握について
 4.技術流出実態とその対応について
 5.人の移動や引き抜きの実態
  (1)人材の移動に関する状況(中途退職の割合、定年退職後の再雇用の状況等)
  (2)人材引き抜きの実態、影響、対策

資料編II.判例集
 1.判例調査の実施
  (1)判例抽出の考え方
  (2)抽出された判例の整理と傾向
 2.抽出した判例の内、報告書で引用した判例
 3.本編で引用したその他の判例

別冊1.調査概要 

別冊2.単純集計結果 
 (1)営業秘密の管理について
 (2)役員・従業員との秘密保持契約について
 (3)取引先企業との秘密保持契約について
 (4)役員・従業員との競業避止義務契約について
 (5)退職した役員・従業員の把握等について
 (6)人材を通じた情報の漏えい事例について
 (7)貴社の概況について

別冊3.詳細結果 
 (1)「営業秘密管理に関する各種取組」に関する分析
   <1>「営業秘密管理に関する各種取組」等と「従業員数」の関係
   <2>「営業秘密管理に関する各種取組」と「営業秘密とそれ以外の情報の区分」の関係
   <3>「営業秘密管理に関する各種取組」と「営業秘密の区分と格付けの見直し」の関係
 (2)「秘密保持契約及び競業避止義務契約」に関する分析
   <1>「秘密保持契約の締結状況」と「業種」の関係
   <2>「競業避止義務契約の締結状況」と「業種」の関係
   <3>「秘密保持契約および競業避止義務契約の締結状況」と「営業秘密の管理に関して実施している取組」の関係
 (3)「営業秘密の漏えい」についての分析
   <1>「過去5年間での営業秘密の漏えい」と「企業規模(従業員数、売上)」の関係
   <2>「過去5年間での営業秘密の漏えい事例」と「営業秘密の取り扱いと運用状況」の関係
   <3>「過去5年間での営業秘密の漏えい事例」と「営業秘密管理に関する取組」の関係
   <4>「過去5年間での営業秘密の漏えい事例」と「企業属性」の関係
   <5>「営業秘密の漏えい先」と「企業規模(従業員数、売上)」の関係
   <6>「営業秘密の漏えいによる損害」と「企業規模(従業員数、売上)」の関係
   <7>「情報漏えいの状況」と、「退職者の再就職先の把握の有無」の関係
 (4)「競業他社からの引き抜き」についての分析
   <1>「競業他社からの引き抜き」と「企業規模(従業員数、売上)」の関係
   <2>「競業他社からの引き抜き」と「業種」の関係



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