お問い合わせ刊行物の購入方法通信販売のご案内刊行物のご案内TOPページ(財)経済産業調査会TOPページ
一般財団法人経済産業調査会 出版案内
分類現代産業選書/知的財産実務シリーズ
知的財産情報会員
好評受付中
上段PR画像

書籍表紙画像

▼発売中
簡単・便利・最速の通信販売をご利用下さい。


中国知財事例解説集 実用新案篇
中国国家知識産権局特許庁実用新案審査部 編著

発行 2013年 12月 11日  A5判 420ページ

本体 3,500円(+税)  送料 実費

ISBN978-4-8065-2927-9

書籍の購入方法ボタン   お問い合わせボタン   オンライン購入のボタン

   本書の刊行によせて イメージ
去る2012年の年末のある日、私たち北京三友知識産権代理有限公司は、一団の特別な客人の来訪をお迎えしました。その客人――中国国家知識産権局特許庁実用新案審査部の劉志会部長を首席とする実用新案審査官の諸氏が私たちの事務所まで来訪した目的とは、実用新案登録出願とその審査について調査研究を行うことで、会合の席において審査官諸氏と私たちの代理人は、実用新案の審査基準と利用の現状などについて熱く議論を交わしました。このことは、私たちにとって、実用新案という保護形式についてさらに認識を深めさせるものとなりましたが、来訪した審査官の諸氏は、このとき、私たちに本書の原書である、同審査部編著・知識産権出版社出版になる『中国専利典型案例啓示録・実用新型篇』を進呈下さいました。 このときの会合で議論した実用新案制度は、近年、中国国内外で益々注目されるところとなっており、2012年の中国の実用新案出願件数は、既に74万件を超え、発明特許の出願件数を上回っております。登録実用新案を対象とする侵害訴訟も目に見えて増加の一途を辿っており、権利侵害事件で史上最高の損害賠償額が認容されたあの正泰対シュナイダーの事件も、正に中国の登録実用新案権を巡って争われたものでした。

しかしながら、注意すべきことに、実用新案という、取得しやすく行使も可能なこの権利種別も外国企業からは殆ど活用されていません。現に2012年における外国の出願人による実用新案の出願件数は全体の8%にも満たないもので、これが外国企業にとって中国での知的財産権の活用における競争力を削ぐこととなっているのは疑うべくもありません。私たち三友にとって日本は大切なお客様の国であるため、私たちは、日本企業の皆様に中国の実用新案制度をさらに一層活用することについてより深く知って頂く必要を感じております。

このため、私たちは、原編著者と原出版社の許諾を受けて『中国専利典型案例啓示録・実用新型篇』を日本語に翻訳し、『中国知財事例解説集・実用新案篇』として日本で刊行することを決定しました。本書は、その内容の一つ一つすべてが実際の事例に基づくもので、登録実用新案が企業の技術革新、応用、保護、管理の過程に おいて果たす作用について紹介し、評釈したものとなっており、中国実用新案制度を学び、理解することの助けとなる実践的・指導的な意義を有する書籍といえましょう。日本企業の皆様が中国における特許戦略を策定する上で、本書がその参考となることができれば望外の至りです。

最後に、本書の翻訳者、校閲者として本書の刊行のために多大の労を払ってくれた大勢の所員たちに心からの感謝を申し上げたい。

北京三友知識産権代理有限公司
執行パートナー  李輝
2013年8月 北京にて

   原書序文 イメージ
経済のグローバル化の進展の絶え間ない加速に伴って、知的財産権も国家発展のための戦略的資源、国際競争力の重要な体現となり、その重要性は日増しに明らかとなっている。中国の特許制度は、その確立されて30年近い発展の歴史において、中国の技術革新と社会経済の成長を常に促進してきた。中国共産党第17期中央委員会第5回全体会議では、経済発展方式の転換を加速する大綱が決定されたが、国家知的財産戦略の実施は、中国の自主イノベーション能力を向上させて、イノベーション型国家を建設し、経済発展方式を転換し、経済の速やかかつ良好な発展を促進するにあたって、非常に重要かつ現実的な意義を有するものである。

周知のとおり、実用新案は、中国の特許制度にある3種別の保護形式のうちの一つで、出願が簡易で審査が迅速という特長ゆえに、多くの考案者から人気を博している。近年、実用新案登録に対する理解をさらに深め、自社の法的利益がより保護されることを希望する企業は益々多くなっている。このため、中国の実用新案登録に対する社会公衆の認識を深め、実用新案登録を利用してイノベーションの成果の保護を図る水準を高めるために、実用新案登録審査業務に従事する審査官及び関係の専門家によって、中国の経済、科学技術、法律の方面で影響のあった70の代表事例を大量の実際の事例から精選して評釈を行ったのが本書である。これらの事例は、技術のイノベーション、応用、保護、管理の各段階に関係するものであり、その中には、近年、中国企業が外国企業を相手取った大規模な侵害訴訟の成功に影響した事例もあれば、一部の中小企業が登録実用新案技術を武器として市場を開拓し、経済危機を乗り切った事例もあり、さらに、数年間の間の優秀実用新案賞の審査において登場した良好な経済効果を得られた登録実用新案もある。本書では、これらの事例について意味深長ながら平易簡明な説明と評価をしているが、「個別」から「一般」へと帰納し、難解な技術知識、法律用語のイメージを変えて具体的で生き生きとしたものとし、社会公衆に理解し把握しやすいようにすることで、人々がより実用新案制度を利用するよう助けるものである。

『中国専利典型案例啓示録・実用新型篇』の出版によって、より多くの企業と考案者が実例から示唆を得て、成功の経験に学んで、失敗から教訓を汲み取り、中国の経済発展方式が転換されていく中で実用新案登録がそのあるべき役割を発揮するよう希望する。

中国国家知識産権局副局長
楊鉄軍
2011年6月8日


主要目次
━━━━━━━━━━━━━━━━
第1部 実用新案技術の創出と運用
━━━━━━━━━━━━━━━━
事例1 「小発明」によって切り開かれた一産業の輝ける時代
事例2 海外技術による独占状態を打破したフロアロック技術
事例3 コア技術と実用新案権保護をもとに「クリエイティブ・イン・チャイナ」を実現
事例4 一つの実用新案によって変わった工場の運命
事例5 一つの実用新案によって切り拓かれた新たな市場
事例6 一体型レーザーカット刺繍機が創出したアパレル製造の新技術
事例7 新エネルギー車の「先駆け」
事例8 独占状態を打破した技術革新
事例9  接着剤業界の知財保護意識を全体的に高めた「1スピンドル多本糸」実用新案
事例10 世界的な難題を解決した新型低温ヒートロッド
事例11 発電機ユニットにおける密封の制約を破って創出された接触式密封の新産業
事例12 農民が豊かになる助け、李さんの「削麺ピラー」立志伝
事例13 外科縫合分野における革新の時代
事例14 中国で凍結防止用電力ケーブルの研究開発に成功
事例15 鉄鋼分野の大型設備の国産化を促進した登録実用新案
    ――ガスキャビネット用密封装置
事例16 業界の技術上のボトルネックを探求する「ロッド」
事例17 実用新案技術で顧客の人気を博し、再び息を吹き返した企業
事例18 実用新案権行使に成功して打ち立てられた企業の輝かしい成果
事例19 重慶の交通治安警察用露天プラットホーム:重慶の安全を守る灯台
事例20 61回の実用新案権侵害訴訟に勝訴した「ちびっ子」
事例21 嵐の後は必ず晴れる
    ――蘇州恒久公司と実用新案の語らざるを得ないエピソード
事例22 きらめく「目」
事例23 実用新案により創られた新竹公司の成功の道

━━━━━━━━━━━━━━━━━
第2部 優れた登録実用新案事例選集
━━━━━━━━━━━━━━━━━
事例24 高圧大口径シームレスボンベのスピニングネッキングマシーン
事例25 撮像顕微鏡
事例26 油田作業に不可欠なアンダーバランス坑井ケーシングバルブ
事例27 業界をリードする4バルブディーゼルエンジンのシリンダヘッドの逃げ溝
事例28 天然ガス資源の探査開発に不可欠な2方向フローティングトング
事例29 微粉炭燃焼ボイラのプラズマ点火及び安定燃焼技術
事例30 マンドレルレス搬送式コイルボックス
事例31 大型遠心ダクタイルパイプ鋳造機
事例32 エンジン燃焼室
事例33 ローリングカット式定尺剪断ユニット
事例34 精留段を備える精留結晶装置
事例35 感電防止式電気温水器
事例36 オールスチール重荷重用ラジアルタイヤ一次成形機
事例37 高度な技術を有する鉄道用車輪の自動深度探傷装置
事例38 斜面式画像取得装置及びそれを用いた顔認証システム
事例39 核酸増幅リアルタイム蛍光検出装置
事例40 セキュリティロック
事例41 取外し可能なオーバーヘッドリモコンレバーサーモグラフィ
事例42 新型アスファルト砕石同時舗装車
事例43 CRH3高速自走車両
事例44 ブルーレイディスクプレーヤーのコア技術のブレークスルー
事例45 国際技術レベルをリードするゼロパワー消費スターター
事例46 技術の限界を超えた新型レッカー車
事例47 暴力による破壊を防止するハンドル装置

━━━━━━━━━━━━━━━━
第3部 登録実用新案の保護と管理
━━━━━━━━━━━━━━━━
事例48 情勢を逆転させた「小発明」
    ――中国国内で最高係争金額の実用新案権侵害紛争
事例49 「従来技術の抗弁原則」の適用
    ――劉良義 対 個人事業主17社の実用新案権侵害紛争事件
事例50 公知技術と請求項の保護範囲の認定
    ――天津市東郊農牧場 対 人民解放軍某工場の実用新案権侵害事件
事例51 侵害紛争で「生産事業を目的に」をどのように判断するか
    ――謝奇 対 某化学工場の実用新案権侵害紛争事件
事例52 登録実用新案権侵害事件から見る明細書及び図面が請求項の
    解釈に果たす役割
事例53 中国初の知的財産権による悪意訴訟の賠償事件
    ――袁利中 対 通発公司の侵害訴訟事件
事例54 「重複特許禁止の原則」により引き起こされた紛争
    ――舒学章ら 対 済寧無圧鍋炉廠の発明特許権無効紛争再審事件
事例55 企業標準の届出が特許法上の意義における公開を当然に構成するか否か
    ――如皋市愛吉科紡織機械有限公司 対 王玉山の無効紛争事件
事例56 実用新案権侵害紛争における証拠認定の問題に関する事例
    ――昆明欧冠窓業有限公司 対 昆明市知識産権局
事例57 中国企業が海外企業による権利侵害に対し上訴して勝訴した事例
    ――アメリカ・チャールストン・インターナショナル・リミテッド、
    龍崗チャールストン首飾廠 対 深万楽園公司
事例58 無効請求の段階における侵害判定基準に関する実用新案権紛争事件
    ――(日本)泉株式会社 対 広州美視晶瑩銀幕有限公司、
    北京仁和世紀科技有限公司
事例59 「電子発音書籍」により引き起こされた実用新案権紛争
    ――万虹公司 対 平治公司
事例60 「禁反言の原則」に関する実用新案権侵害紛争上訴事件
    ――瀋其衡 対 上海盛懋交通設施工程有限公司
事例61 「請求項に係る技術的特徴の解釈」に関する登録実用新案権侵害訴訟事件
事例62 実用新案権侵害の損害賠償額の司法解釈に関係する
    実用新案権侵害紛争事件
    ――華紀平、合肥安迪華進出口有限公司 対 上海斯博汀貿易有限公司、
    如東県豊利機械廠有限公司、南通天龍塑業有限公司
事例63 改悪された技術的解決手段は実用新案権の保護範囲に属するか否かに
    関する実用新案権侵害紛争事件
    ――直連公司 対 高聯公司
事例64 「 均等な技術的特徴の判断」に関する登録実用新案権侵害紛争事件
    ――大連新益建材有限公司 対 大連仁達新型墻体建材廠
事例65 「 従属請求項を選択して権利の保護範囲を画定できるか」に関する登録実用新案権侵害紛争事件
    ――連雲港鷹遊紡織機械有限責任公司 対 江陰周庄紡織設備廠
事例66 「技術分野の判断」に関する実用新案無効行政紛争上訴事件
    ――比亜迪股有限公司 対 国家知識産権局特許審判委員会
事例67 権利侵害紛争処理手続の短縮に関する代表事例
    ――朱式根 対 某盗難防止ドア取次販売店の実用新案権侵害紛争事件
事例68 一部無効及び仕入製品に関する実用新案権侵害紛争事件
事例69 権利保護への苦難の道
    ――宋章根 対 貝特公司の回転型補償器を巡る紛争
事例70 台所用家電業界の国内外リーディング企業による実用新案権の戦い
    ――帥康公司 対 エレクトロラックスの実用新案権侵害事件

原書参考文献
翻訳者紹介



 bookinfo@chosakai.or.jp

 http://www.chosakai.or.jp/book/

無断転載を禁じます 財団法人経済産業調査会
Copyright 1998-2001 Reserch Institute of Economy, Trade and Industry.
お問い合わせ刊行物の購入方法通信販売のご案内刊行物のご案内TOPページ(財)経済産業調査会TOPページ