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企業経営に資する知的財産
−技術力、知財力、人間力で創造する−
石田 正泰
石井 康之  著

発行 2016年 6月 21日  A5判 350ページ

本体 3,500円(+税)  送料 実費

ISBN978-4-8065-2976-7

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   はしがき よりイメージ
 リーチレター(LIETI LETTER)に2014年1月から毎月連載されている「技術力、特許力」の小論が3年目に入り、各回多くの反応があり、単行本期待の声もある中で、この小論集を基本に編集して単行本として発行することになった。

 著者は、青山学院大学法学部特別招聘教授 石田正泰(理論体系編担当)と東京理科大学 イノベーション研究科 知的財産戦略専攻教授 石井康之(事例・実証編担当)である。

 企業経営においては、知的財産を自社の重要な経営資源・競争軸と位置づけて対応することが必要不可欠である。そして、いわゆる、企業経営に資する知的財産は、質の良い知的財産と具体的な戦略及び人材の存在によって実効性が確認されるのが実情であり、(1)知的財産リストを管理するのではなく企業経営に資する知的財産管理を考慮し、(2)知的財産経営に関し把握・整理し、(3)知的財産経営に関する論点(知的財産の位置づけ、知的財産ポリシー等)を整理し、(4)事業形態(ビジネスモデル)についての知的財産の取得・活用戦略を整理し、(5)知的財産経営の組み立て・知的財産ポリシーを策定する等である。

 要は、企業経営に資する知的財産のポイントは、「技術力」、「知財力」、「人間力」であり、本書は、このような認識のもとに編集された。なお、「技術力」、「知財力」、「人間力」につき付記する。

(1)「技術力」
 昨今、企業経営においては、知的財産を重視する傾向が顕著になっている。そして、その基本的要素、課題は何かについては、いろいろの観点、指摘があるが、知的財産に関する「技術力」、「特許力」、「人間力」の評価、認識が重要である。

 ところで、「技術力」の意義についてはいろいろの考え方があるが、産業技術力強化法の「産業技術力」、「技術経営力」の定義が参考になる。すなわち、「産業技術力」とは、「産業活動において利用される技術に関する研究及び開発を行う能力並びにその成果の企業化を行う能力」であり、「技術経営力」とは、「技術に関する研究及び開発の成果を経営において他の経営資源と組み合わせて有効に活用するとともに、将来の事業内容を展望して研究及び開発を計画的に展開する能力」である。

 従って、企業経営において、知的財産に関する「技術力」の評価、認識においては、産業技術力強化法の「産業技術力」、「技術経営力」の定義を参考にして「産業活動において利用される技術に関する研究及び開発を行う能力並びにその研究開発の成果である知的財産の機能を利用して企業化を行い、他の経営資源と組み合わせて有効に活用するとともに、将来の事業内容を展望して研究及び開発を計画的に展開する能力」とまとめることが可能であり、適切であろう。

 要は、企業経営において、「技術力」は基本的要素であり、その欠如は問題である。

(2)「知財力」
 また、「知財力」の意義についてもいろいろの考え方があるが、昨今の知的財産関係実務については、「権利を取る」より「権利を使う」ことに重点が移っており、しかも、技術のハイテク化に伴って、技術開発には多額の投資が必要となり、その投資額を回収するためには、他社が自社の知的財産権を侵害している場合、厳しく対応する傾向が強くなっており、いわゆる、プロパテント、すなわち、知的財産重視の時代であり、その基本は、広く、強く、役に立つ特許、換言すれば知的財産の代表である特許の力、即ち「知財力」である。

 広く、強く、役に立つ特許とは何かについてもいろいろの考え方がある。例えば、幅広い権利行使が可能な特許、無効になりにくい特許、経営に資する特許などである。特に,昨今、「権利を取る」より「権利を使う」ことに重点が移っている中で、知的財産関係契約における戦略的対応により、所謂、「特許力」を強化することが大いに期待されている。

 要は、企業経営における知的財産戦略の基本的要素は「知財力」である。

(3)「人間力」
 知的財産を重視する企業経営において、知的財産に関する「技術力」、「知財力」、「人間力」の評価、認識が重要である中で、「人間力」の意義についてもいろいろの考え方がある。企業経営の基本的理念は、持続的発展であり、企業が持続的発展を確保するためには、自社の強みを維持・強化し、他社との差別化を図り、それを自社の重要な経営資源・競争軸と位置づけて対応することが必要不可欠なことである。

 そして、自社の強みを維持・強化し、差別化を可能にする最も重要な要素が企業経営に資する知的財産であり、かつ、特定の知的財産自体ではなく、企業が保有する知的財産の機能を十分に発揮させる戦略及びそれを実行する人材・組織により経営戦略に練り込まれた位置付けにおける知的財産、すなわち、「企業経営に資する知的財産化された知的財産」と解すべきである。

 各企業は、保有する知的財産のリストを管理するのではなく、企業経営に資する知的財産を管理することを考慮することが期待される。すなわち、企業経営における知的財産管理は、企業経営に資する知的財産化する人材・組織、経営戦略なしには機能しないのである。このような、企業経営に資する知的財産化する人材・組織、経営戦略の中核をなすのが、所謂、「人間力」である。

 なお、本書は、リーチレター(LIETILETTER)に毎月連載された小論を編集したものであり、従って、項目ごとに独立した利用も有益である。

2016年4月
石田 正泰
石井 康之

   著者略歴 イメージ
**先生近影 石田 正泰(いしだ まさやす)

青山学院大学法学部特別招聘教授。
凸版印刷(株)専務取締役(法務本部長兼広報本部長、知財専門子会社社長)、(一社)日本経済 団体連合会 知的財産部会長、(一財)経済産業調査会評議員(現在監事)、東京理科大学専門職大学院研究科長・知的財産戦略専攻教授等を歴任。日本大学法学修士・商学修士、中央大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学。主な著書に「企業経営における知的財産活用論」など、書籍多数。


**先生近影 石井 康之(いしい やすゆき)

東京理科大学大学院MIP教授。
1974年一橋大学経済学部卒業後、東京海上火災保険(株)入社。知的財産研究所、(株)東京海上研究所に出向し主席研究員などを歴任。2005年専修大学経済学研究科(計量経済修士)修了。2005年より東京理科大学大学院MIP教授。2012年東北大学工学研究科博士後期課程修了(工学博士)。著書に『アーリーステージ知財の価値評価と価格設定』(監訳、中央経済社)、『知的財産の経済・経営分析入門』(白桃書房)など、書籍・論文多数。

主要目次
はしがき

事例・実証編
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第1章 科学・技術、特許と人間力
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第1節 自然科学と技術の相互共鳴
 1.科学と技術の意味
 2.科学的知見の活用による技術開発
 3.科学的知見によらない技術開発
 4.技術から技術へ、そして科学理論へ
第2節 歴史に見る技術開発の源泉
 1.歴史に見る技術開発の意義
 2.過去の発明とその事業化の事例
 3.個人としての研究の特性
 4.個人の発意と発明
 5.発明技術の市場化を行った主体
 6.市場化のための開発の要件
 7.発明と偶然
第3節 特許・知的財産マネジメントと事業化
 1.燃焼をコントロールする世界初の技術開発─株式会社 キンセイ産業
 2.モーターの原理を生み育んだ日本人─株式会社 新生工業 
 3.東北から世界に放つ技術ノウハウの光─東北電子産業株式会社
 4.技術力と事業戦略の有機的結合─四国化工機株式会社

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第2章 技術力、特許力の把握
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第1節 把握しにくい資産としての技術・特許
 1.経営資源としての技術、特許
 2.把握されない技術・特許の資産力
 3.把握されない資産の認識に向けた取り組み
 4.技術力・特許力が把握される局面
 5.技術・特許の価値把握への取り組み
第2節 特許属性データによる技術の質的価値の把握
 1.特許データの意義
 2.特許データと研究開発成果に関する先行研究
 3.単一潜在変数モデルとは
 4.特許出願価値の企業の株式時価総額による検証
 5.データ
 6.特許出願価値の算出
 7.特許出願価値と株式時価総額の検証結果
 8.まとめ
第3節 特許と研究開発の経営へのインパクト
 1.はじめに
 2.特許データの研究開発成果としての意味
 3.分析の方法
 4.使用データ
 5.分析の結果
 6.まとめ
第4節 知的財産評価の意味と本質
 1.評価の意味合い
 2.定量的評価法の整理
 3.評価の本源的意味合い
 4.知的財産評価とDCF法に対する誤解 
 5.DCF法による事業評価と各種仮定 
 6.評価額の脆弱性
 7.評価論の本質はコンセンサス
第5節 技術評価における課題
 1.特許・技術資産の見える化
 2.事業評価と技術資産の評価
 3.事業価値の評価
 4.技術資産等の価値の抽出
 5.特許・技術資産のウエイト

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第3章 M&Aと技術開発力 
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第1節 M&Aの動向 
 1.世界のM&Aにかかる動静 
 2.日本におけるM&Aの動静 
 3. M&A増加の要因 
 4.M&A実施の目的 
第2節 M&Aの経営的意義と効果分析 
 1.M&Aの意義に関する諸説 
 2.M&Aと企業業績 
 3.M&Aと株価 
第3節 M&Aと研究開発効率 
 1.はじめに
 2.先行研究の整理
 3.特許出願価値の算出とその検証
 4.M&A実施後の研究開発効率変化の把握方法 
 5.分析に使用するデータ
 6.回帰分析の結果
 7.企業インタビュー等による研究開発効率低下の要因分析
 8.まとめ

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第4章 特許・知的財産制度の経済学
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第1節 特許制度と企業経営・マクロ経済
 1.特許制度の目的
 2.企業経営と特許制度
 3.特許制度と経済発展・国の競争力 
 4.20世紀における米国での実験 
 5.特許制度とマクロ経済の関係
第2節 特許保護指数と研究開発・経済分析
 1.はじめに
 2.特許制度の改定と研究開発
 3.特許保護指数の策定
 4.各種知的財産保護指標の策定
 5.知的財産保護指標と経済分析
第3節 知的財産保護と国際貿易
 1.はじめに
 2.輸出を規定する要因
 3.使用するデータ
 4.知的財産と輸出に関する理論
 5.分析の結果
 6.まとめ
第4節 対外直接投資と知的財産制度
 1.対外直接投資の意義
 2.中国経済と対外直接投資
 3.ベトナム経済と対外直接投資
 4.知的財産制度と対外直接投資
 5.知的財産制度と投資と経済成長の循環
 6.躍進するミャンマーへ
第5節 知的財産制度と経済成長
 1.はじめに
 2.保護と経済発展に関する理論
 3.実証分析の方法
 4.検証の結果
 5.まとめ

理論体系編
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第5章 知的財産の位置付け
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第1節 企業経営における知的財産の位置付け
 はじめに
 1.知的財産経営
 2.知的財産の活性化・知的財産契約論
 3.オープンイノベーションと知的財産契約
 まとめ
第2節 企業経営におけるノウハウの位置付け
 はじめに:何が重要な知的財産か、ノウハウの技術力は?
 1.営業秘密・ノウハウの法的保護
 2.企業経営における営業秘密・ノウハウの位置付け
 3.企業経営における営業秘密・ノウハウの機能
 4.営業秘密の保護に関する実務的課題
 5.営業秘密の管理に関する実務的課題
 まとめ
第3節 特許出願かノウハウキープか
 はじめに:戦略的知的財産活用の基本
 1.企業経営における特許・ノウハウの位置付け
 2. 特許出願かノウハウキープかの判断基準 
 3.特許出願かノウハウキープかにおける課題
 まとめ:知的財産の取得・保持のあり方
第4節 オープンイノベーション下におけるノウハウの活用
 はじめに:ノウハウは重要で、ファジ.である
 1.ノウハウ活用の留意点
 2.ライセンス契約によるノウハウの積極的活用
 3.ノウハウに関する経営戦略
 まとめ:ノウハウの活用は、情報、戦略、人の総合的管理が基本
第5節 共同研究開発の成果に関する知的財産問題
 はじめに
 1.共同研究開発成果の帰属、権利取得手続き等
 2.共同研究開発成果の実施
 3.共有特許権の第三者への実施許諾
 まとめ

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第6章 知的財産の機能
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第1節 企業経営における知的財産の機能
 はじめに:企業経営における知的財産の基本的機能
 1.知的財産権の経営戦略上の機能
 2.企業における知的財産の具体的な機能
 3.知的財産権の経営戦略上の価値評価
 まとめ
第2節 企業経営における知的財産の機能の活用
 はじめに
 1.企業経営における知的財産の機能
 2.知的財産力、特許力とは何か
 まとめ:知的財産経営の在り方
第3節 知的財産契約における戦略の創り込み
 はじめに:知的財産契約重視の時代
 1.知的財産契約における戦略の創り込み、表現、評価
 2.ライセンス契約における当事者の戦略的対応
 3.ライセンス契約で争点となる事項
 まとめ:具体的経営戦略に練り込んでこそ!
第4節 知財ベンチャーの起業課題
 はじめに
 1.知財ベンチャーの目的と起業動機
 2.技術力とは
 3.知財ベンチャーの課題としての技術力
 まとめ
第5節 オープンイノベーションと知的財産契約
 はじめに
 1.アウトソーシング契約
 2.相互補完契約
 3.ライセンシングアウト契約
 まとめ
第6節 特許の活用と独占禁止法
 はじめに:特許権は絶対権か
 1.特許法と独占禁止法の目的
 2.知的財産の活用と独占禁止法
 3.知的財産法と独占禁止法の調整
 まとめ:特許力と独占禁止法の関係

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第7章 知的財産契約
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第1節 企業経営における知的財産契約・戦略の考え方
 はじめに
 1.企業経営における知的財産契約の考え方
 2.ライセンシングアウト契約
 まとめ
第2節 特許実施契約活性化の課題
 はじめに
 1.実施権の意義、種類
 2.特許実施契約活性化の基本的課題
 まとめ
第3節 特許ライセンス契約の多様な展開
 はじめに
 1.基本的ライセンス契約
 2.サブライセンス
 3.クロスライセンス
 4.黙示のライセンス
 5.実施権者の改良発明のグラントバックライセンス
 まとめ
第4節 特許実施契約における黙示的実施権
 はじめに
 1. 特許実施契約における黙示的実施権の意義 
 2.黙示的実施権の発生
 3.黙示的実施権対応の課題
 4.まとめ
第5節 特許実施契約における許諾者の留意事項
 はじめに:許諾者にも留意事項が多い
 1.許諾者の特許権維持義務
 2.第三者の権利侵害排除対応
 3.許諾者の保証義務
 4.専用実施権の留意事項
 5.許諾者の実施権者に対する規制約定と独占禁止法の関係
 まとめ:リスクマネジメントにより特許活用の実効性
第6節 特許実施契約の三分法による見える化
 はじめに:特許実施契約における基本・応用・戦略論
 1.専用実施権問題
 2.共有特許権問題
 3.実施権者の改良発明の取扱い問題
 まとめ:見える化により戦略的活用の実効性

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第8章 企業経営に資する知的財産
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第1節 企業経営に資する知的財産のあり方
 はじめに
 1.企業経営における知財の本当の機能
 2.企業経営における知財(知財部門)の本当の役割
 3.企業経営における知財人材のあり方
 4.知的財産権の機能の具体化
 まとめ
第2節 特許実施契約における改良技術の取扱い問題
 はじめに:知的財産は活用、改良がポイント
 1.ライセンシーの改良技術の取り扱い方法・考え方
 2.ライセンシーの改良技術等の取扱いと独占禁止法
 まとめ:ライセンシーの改良技術の取扱いは独禁法に配慮
第3節 知的財産活用と法的リスクマネジメント
 はじめに
 1.法的リスクマネージメントの必要性
 2.知的財産制度利用過程における法的リスクマネージメント 
 まとめ
第4節 知的財産経営の設計
 はじめに
 1.知的財産経営とは
 2.企業経営における知的財産機能の展開
 3.経営戦略策定のプロセス
 4.企業経営における知的財産戦略
 5.知的財産経営の推進
 まとめ:知的財産経営のあり方
第5節 企業経営に資する知的財産
 はじめに:企業経営に資する知的財産とは何か
 1.企業経営に資する知的財産の要素
 2.企業経営に資する知的財産化の戦略と人材・組織
 まとめ:企業経営に資する知的財産化の在り方



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