IoT、ビッグデータ、自動走行、ロボット、人工知能(AI)こうした「第4次産業革命」とも呼ぶべき技術革新は、従来にないスピードとインパクトで進行しています。
我が国をはじめとする世界の先進国では、新たな需要創出の欠如と、生産性の長期伸び悩みから来る「長期停滞」が共通の課題となっています。特に、世界に先駆けて本格的な人口減少社会に突入する我が国にとっては、まさに深刻な課題と言えます。
我が国がこの課題を乗り越え、世界をリードしていくための最大の鍵が「第4次産業革命」です。新たなイノベーションの社会実装をいち早く実現し、潜在需要を開花させる新たな製品・サービスを創出するとともに、人口減少に伴う供給制約を克服する「生産性革命」を起こすことが必要不可欠です。
こうした「第4次産業革命」の流れの中で、我が国は今、「分かれ目」に立たされています。産業・雇用の縦割り構造を温存し、従来型の企業経営と人材教育を継続したままでは、我が国の産業が海外の先進企業の下請けとなり、社会の深刻な二極化をもたらしかねません。今こそ、果断に産業・雇用構造を転換させ、新たな経済社
会システムを築いていかなければなりません。
この「新産業構造ビジョン」は、我が国が「第4次産業革命」をリードし、グローバル競争を勝ち抜く具体的な戦略づくりの第一歩です。このビジョンが多くの方々に共有、実行されていくことを期待します。
平成28年4月
経済産業大臣 林幹雄